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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
141/1571

5-68 不穏な動き


山裾の地は今、乱れている。地が震え、倉が燃えたとかで、食べ物が失われた。それで戦になった。



「守。急ぎ」


鷲の目が、飛び込んできた。


風見かぜみか。」


「はい。」



獣谷の隠れ里。鷲の目と木菟ずくが、バッタリ会った。その時、ゲンから、気になる話を聞いた。



朝、早く。ユラリ、ユラリと二隻の舟。身を低くして布を被り、隠れるように暴れ川を上がる。


舟には、作り手の癖が出る。あの荒荒しい作りは、風見の舟に違いない。


風見は戦好きな国。誰が乗っているのかと、目を凝らす。舟先に、犬。後ろは、舟尾に一頭。頬に傷があった。風見の狩り人、ヤカ。もう一人は、狩頭に似ていた。


気づいたのは、その時だけ。他にも、いるかもしれない。良村よいむらに寄って、聞いてくれと。



シゲからも、気になる話を聞いた。



雪が解けた頃。探るような動きをする、怪しいヤツが。身のこなしから、狩り人だ。どこのだ? と思いながら見ると、風見の狩り人だった。


他にも、いた。シンとノリ、それぞれ違う所で見かけた。シゲは、狩り人なら。シンは、長の家の者なら。ノリは、犬なら覚えている。


山裾の地で見たのは、六人。風見の狩頭、長の倅サンとトモ。狩り人ジン、ヤカ、ウネ。



もし今、攻められれば。山裾の地が、血に染まる。風見に奪われることは、ない。川田、馬守、岩割、良村。四つの村が守るだろう。しかし、多くの血が流れる。


木菟は、風見の者を探す。鷲の目は、霧雲山へ。




「戻りました。急ぎ。」


木菟、二人。


「申せ。」



風見が、木下の村の外れで、隠れ住んでいた。草谷の狩頭が気づき、稲田、大田の狩り人と、気づかれないように、調べた。


草谷、稲田、大田。三人の長が、三鶴の長を問い詰める。何も知らなかった。強く責めたが、嘘偽うそいつわりないと。


釜戸山へ、知らせに行こうと決めた時、木菟が。



弓に矢、刃物。狩り人が三人。木下の村と深川の、間あたり。舟をさかさにして覆い、息をひそめて。


矢尻の多くは、サメの歯。中には、獣の骨を削って、とがらせた物もあった。




「良村は、戦えそうか。」


「多くは子。守りに徹するかと。」


「隠れ里は。」


「良村と組めば、戦えるかと。」



「川田と馬守は。」


「どちらも強い村ですが、戦を嫌います。川田と岩割は、長からの頼みなら。良村のノリが動けば、馬守も加わるでしょう。



愛犬家の絆は、強い。



それはさておき、祝辺の守は、気づいていた。山裾の地にうごめく、悪しきモノに。


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