表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1406/1598

16-61 毛皮より羽毛


山守は日当たり、風通しも悪い。だから祝辺はふりべに生かされている。食べ物や着る物など、暮らすのに要る品を与えられて。



山守社やまもりのやしろは祝が、ヨキが死んで変わった。もう祝は選ばないと言い切り、どんなに迫っても追い返される。


聞く耳を持たないのだ。






「たしゅけてぇ。」


幼子おさなごが泣きながら助けを求め、走る。


「兄ぃが、兄ぃがぁ。」


死んじゃうよぉ。






やれ生贄いけにえだ、人柱ひとばしらだと言って殺し続けた。その結果、山守の人口が激減。



女が少なくなれば子が産まれず、人が増えない。


他からさらおうにも人が少ないのだ。動ける男が足りず、育ちそうな子は夜逃げする。






「おい、聞こえたか。」


「あぁ、聞こえた。」



山守の民が見合い、ニヤリと笑った。心の中で幼子、それもの子が二人も手に入ると大喜び。






ジロは鎮野しづめのに入って、村長むらおさの家を探す事にした。けれど手ぶらではうかがえない。そう考え森に入り、獲物を追いかけスッテンころりん。



「受け身ってスゴイなぁ。」


地涯滝ちはてだきから離れていたとはいえ、流れの速い川に落ちたのにかすり傷で済んだ。


「ヘクション。」


ブルルッ。




ジロは思った。枯れ枝を集めて火をおこし、温まるのを待っていたら日が暮れる。だから衣だけ乾かして、サッサと大物を狩ろうと。




「森の中だし。」


キョロキョロしてからスポンと脱ぎ、濡れた衣を絞ってバッバと水気を切った。


「さぶっ。」


急いで枯れ枝を集め、火をおこす。




和みの布は厚みがあり、長く使える良い品だ。けれど十二歳の時に着ていたモノ。十七歳になったジロには着られない。


けれど捨てられず、縫い目をほどいて肩掛かたかけにした。




「そろそろイイかな。」


アンリエヌの品を纏うワケには、というコトで用意されたのは良村よいむらころも


「柔らかいのに強いな。」


衣を纏い、羽織っていたなごみの布を乾かす。


「そうだ、鳥にしよう。」




アンリエヌのフワフワ寝具を作るのは難しい。けれど水鳥を狩って羽をむしり、折り目の細かい布で作った袋に入れれば良いのではナイか。




「毛皮より羽毛!」


うんうん。


「探すのは湖や沼。」


乾いた布を畳み、袋に入れて背負った。


「さぁて、ん。」


今、悲鳴が聞こえたような。


「おっ、女の子が襲われている。助けなきゃ。」


ジロがタッと駆け出す。






襲われている、というより捕らえられたのは女の子ではなく男の子。それも幼子。


かすかに聞こえた声を拾ったが、遠く離れていたので聞き間違えたダケ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ