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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1404/1597

16-59 その踊り、強烈


「どうしよう。」


アチコチから見られている。


「はぁ。」


降ってきた眼球にうずもれた、あの日の事を思い出すよ。


「手でも振るか。」




開き直ったジロが笑顔で手を振り、クルンと回って踊り出す。


披露したのはカーに『何かの儀式か』と問われた、あの謎ダンス。




「何だ、アレは。」


「ティ小のうたに合わない!」


「今すぐめさせよう。」




ジロの鼻歌と謎ダンス、不評判。



多鹿たかのカヨもティ小のうたも、鎮森しづめもりたみに大人気。琴を習うおにが増え、風が涼やかな音色を運ぶ。




「♪手を上げフリフリ、もう一方もフリフリ。お尻フリフリ、膝を曲げピョォン♪」




暗かった森に明るい光が差し込み、噴き出す闇も心なしか薄くなる。それら全てカヨが歌う、ティ小のうたの御蔭。


なのにイロイロ台無し。




「いちニッさんシッ、にいニッさんシッ。さんニッさんシッ、よんニッさんシッ。」


腕を上げたり腰を振ったり、尻を突き出して踊る。


「ふぅ。」


コリコリに凝った肩が軽くなったジロを、信じられないモノを見るような目で見つめる隠たち。


「おはよう。気持ちの良い朝ですね。」


ニコッ。




鎮森の民には見えるが、ジロには何も見えない。見えないけれど居る。だから笑顔で挨拶したのに、隠たちが腰を抜かした。




「大きな木の枝に腰掛け、抱きついて眠ると凝るんだよねぇ。」


もう二度とアンリエヌの土を踏む事はない。当然、極上寝具で休む事も無い。だから硬い寝具でも、木の上でも眠るように訓練した。


「ほら、土の上だとかじられるでしょう?」


猪とか狐とか狸とか、熊とかに。


「熊が木に登るって話、聞いたんだけど。」


・・・・・・。


「そうだよネ。」


うふふ。






隠たち揃ってガクガク、ぶるぶる。


急に現れた見る目も耳も持たない男が、話が全く通じないのに話し掛けてくる。答えても話にならない。となれば怖がられ、怯えられるのは当然。



ジロは見えなくても聞こえなくても、相手には見えるし聞こえるならソレで良いと考えた。だからほがらかに笑い、優しい声で語りかける。


何も知らず。






「さぁて、そろそろ行くか。」




ブランに教わった通り、真っ直ぐ歩いて鎮森を抜けた。けれど何をドウ話せば良いのかサッパリ分からず、森の中をグルグル歩き回る。


で、気付けば日暮れ。



急いで大木に登り、寝床を確保。幹に抱きつき作戦を練るも、たった五分で寝落ち。『疲れていたんだ』と開き直り、爽やか挨拶作戦を実行。





なまっちゃったカナ。」


いやイヤ違うぞ、ジロ。


「長かったからなぁ。」


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