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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1403/1598

16-58 お元気で


アンリエヌに居た時から気になっていたのは良山よいやま。けれど話を聞くうちに、良山で暮らすのは難しいと思った。


良山は、霧雲山から遠く離れている。






「分かった。では、目隠しを。」


まぶたを閉じ、白い絹のスカーフを当てて素早く、キュッと頭の後ろで結んだ。


「お願いします。」


「では、行こう。」






ブランは少なく見積もって、千年以上生きる魔物である。その翼は強く、美しい。


けれどフワリフワリと上下に動くたび、落っことされたらドウしようとヒヤヒヤした。



目隠しされていなければ、きっと大騒ぎしていただろう。空の旅を楽しむドコロではない。


『目隠しを』と言われて、少しガッカリした。けれど今は良かったと思う。






「もう良いぞ。」


足が地について直ぐ、声を掛けられた。


「わぁ、森だ。」




ジロに見えるのは、姿を見せているおに


木の後ろや枝の上で息をひそめ、こちらをうかがう全てが見えない。




「このまま真っ直ぐ進め。そうすれば昼前に森を抜け、鎮野しづめのに出る。」


「はい、ブランさま。ありがとうございます。」


「ジロ、元気でな。」


「はい。ブランさまも、お元気で。」






また熊に出くわしても、死にかけても会えない。


けれどソレはおので選んだ事。これから何が起こるのか、どれだけ生きられるのか分からない。それを嘆いても、何も変わらない。



もう戻れない。だから諦めず、生きる。天寿を全うするまで生き、隠になるんだ。そうなれば会える。


乱雲山で別れた家族、なごみの皆に。






「うん。」


居る。


「間違いない。」


見張られている。






鎮森のたみは、その多くが山守を憎んで闇堕ちした隠。生まれ育った地に戻りたくても、戻ることが出来ない隠。


はじめは祝社はふりのやしろを頼ったが、人の守も隠の守も力になってくれない。



とつ守だけは違った。けれど、どうにもナラナイと判る。


山守にとらわれた隠は、国つ神が御力をふるわれても鎮森しづめもりから出られないのだ。






「この感じ。」


「あぁ。」




鎮野には光のつるぎを生まれ持つ祝女はふりめと、光のたまを生まれ持つ祝人はふりとが居る。その二人が契り、ポコポコ子が生まれた。


なのに育たず、死んでしまう。



一人だけ育った弱弱しく、危なっかしい。だから見守る事にした。その日まで。


ユタの中に眠る力は、子や孫に受け継がれる。それまで待てば良いダケの事。




「エンさま。」


「化け王。」


「それに。」




祝の力とは違う、恐ろしく強くて清らな力。生きている間に表に出る事は無いだろう。けれどユタと同じで、その子や孫に受け継がれる。


きっと天つ神の御力だ。



天つ国の品が、天つ神のおぼし召しで中つ国にもたらされる事がある。


選ばれるのは動物で、人である事が多い。


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