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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1402/1600

16-57 戻って来たんだ!


少量とはいえ人の体に、はじまりの一族の血が入ったのだ。思うように動けるまで一年、力加減が出来るまで一年。


合わせて二年経過。






「カー様、王子様みたい。」


第五王子だよ、先代大王の。


「キレイな瞳。こう、スゥっと吸い込まれそう。」


口説いているのか?






ジロは鳥の谷ではなく、霧雲山を転移先に選んだ。


理由は祝辺の守に知られる事なく、安全に入山できるから。鳥の谷を管理するのは釜戸社かまどのやしろ。その気になれば、いつでも好きな時に行けるから。



霧雲山を見て回ろうと思う。そう聞いてカーは実用的で美しく、丈夫な短剣を用意した。


餞別せんべつしなとして、ジロに渡すために。






「今まで、ありがとう。お世話になりました。」


涙ぐみながら微笑むジロ。


「達者でな。」


「はい。」




淡い光に包まれ、フワフワした。ゆっくりまばたきし、目を慣らす。


赤い目をした白い鷲と目が合い、パチクリ。それから直ぐ、パァっと花の咲いたような顔になった。




「ブランさま。というコトは戻って来たんだ! やまとに。」


生まれ育った乱雲山に、家族がいる和み村に戻ったワケでは無い。それでも胸が熱くなる。


「ジロ。これから、どの山へ行く。」


目を潤ませるジロに、ブランが優しく問いかけた。「どの・・・・・・。あぁ、そうか。」






中の東国ひがしくに、霧雲山の統べる地。その真中まなかそびえるのが霧雲山系。最高峰は山守だが、そのいただきを守るのは祝辺はふりべ


山守と祝辺は分断され、高い崖の一部が広い滝になっている。



エンが暮らしていたほらは霧雲山系にあるが、どの山にあるのか知らされてイナイ。


洞の外は切り立った崖で、四つ足でなければ近づけないと言われたダケ。






「ブラン様。叶うなら高隆崖たかもりがけの上、鎮野しづめの平良ひらで暮らしたいと思います。」


「ホウ。」




チラッと話を聞いた時から、ずっと見たかったんだ。合繋谷あつぐたきに流れる滝を。平良から見えるのは左牙滝ひきだき、鎮野から見えるのは右牙滝うきだき


牙にたとえられるんだから白くて大きくて、虹がかかってキラキラ輝いているんだろう。近づきすぎるとアブナイから、離れて眺めるよ。




「近づけぬぞ。」


「エッ。」






高盛崖の上は風の流れが複雑で、四つ足でも身を低くしなければ崖下へ真っ逆さま。根の国へ直行。


素敵な出会いトカ運命の出会いを期待しているようだが、あの崖に居るのはおにか妖怪。人とドウコウなるとは思えない。






「そう、なんだ。」


ガッカリ。


「平良は祝辺の守に仕える烏が暮らす地。祝辺は鎮野と大泉に手を出せない、強い山だ。心穏やかに暮らすなら平良より、鎮野が良かろう。」


ブランの赤い目がキラリと光った。


「はい、決めました。鎮野で幸せに暮らします。」


ニコッ。


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