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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1394/1595

16-49 お招き、ありがとう


信じられない。


いいえ違うわ、信じたくないの。私の子か孫か、その子か、その子の子か孫か。






「おかしい。」


この力は母から娘へ受け継がれる、恐ろしく強いモノ。私に似てるなら娘か孫よね。


「どうして。」


力の受け渡したら、気を失う前に守り袋を譲るわ。人で無くなるなら、その子を狙う『何か』はわざわい。遠ざけるか助けてくれるハズよね。


「ナタ。」


こうさま、お願いがあります。」


「その願い、叶うかドウか分らないが聞こう。」


「私を少しでも早く、先見さきみさまに会わせてください。」






顔がけて良く判らない。でも、どうしてかしら。心が、魂が揺さぶられる。そんな気がするの。これは、この思いは・・・・・・恋?



父さんが言っていたわ。母さんを一目見て、心がギュッとしてビビビとキタって。


誰に何を言われても守りたい。振り向いてもらえなくても、共に生きられなくても守り抜く。そう決めたって笑いながら。






「エッ。」


熊を弓で、たった一本の矢で仕留めたわ。そんな事、人に出来るとは思えない。となると、あの生き物は人に化けられるか、人と同じ姿をしているのね。


「読まなきゃ。」


どうすれば見分けられるのか、判るまで!






母さんが言っていたわ。良村よいむらの子は強くて優しくて、生きることを諦めない。


言の葉が出なくても思うように動けなくても、考えて考えて力を尽くす。生きて良村に戻ろうとする。


だから良山よいやまを出ても戻れるって、迎えに来てもらえるって。



母さんは添野で生まれて、茅野に引き取られて良村の子になった。野呂のろで父さんに会って、大泉で幸せに暮らしている。それでも楽しそうに、良村の話をしていた。


良村には夢見草という、とても美しい花が咲いている。犬好きが多くて朝夕、広いトコロで木の枝ポーンをして遊ぶ。


アチコチに罠が仕掛けられているから、忍びでも良村に近づけない。






「そうよ、そうだわ。」


母さんは良村の子。大泉は霧雲山の一つで、良山はズッと南にそびえている。だから迎えに来てもらわないと、良村に戻りたくても戻れない。


「違う、選んだのよ。」


私には御姿を見せてくださらなかったけど、母さんにはクルさま、シナさま、フサさまが憑いている。だから『戻りたい』と言えば良村に戻れた。


「私も決めなきゃ。」


大泉と鎮野の間には、深くて大きい谷がある。でも隣だから、その気になれば戻れるでしょう。


でも戻らない。大泉に居たら守れないから、大泉を出たんじゃない。なのにウジウジ悩んでアレコレ考えて、守りたいものを守れるの?


「もう迷わない!」


母さんはクルさま、シナさま、フサさまに。父さんに何かあれば母さんが悲しむから、父さんも守られる。


私には何も憑いてイナイ。だから、おのの身は己で守る。






「♪ 諦めず出来ることをして♪」


片足づつ交互に、軽く飛び跳ねながら進む。


「♪うつかず上を向いたなら♪」


二人、楽しそうに歌っているのはティ小のうた。


「♪何か良い事が起こる そんな気がするのよ 泣いてはイラレナイ♪」


トントンッ。


「紅さまに言われて来ました。」


「お招き、ありがとう。」


ユタとよし、手を繋いで歌いながら登場。


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