表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1388/1594

16-43 強くなります


タエとタラの子が、強い先読さきよみの力を受け継いだ子が来る。名はナタ。




こうさま。」


舞とみつせがれ、ユタが駆けてきた。


「ん、それは。」


「桃の葉です。」


ニコリ。






御神木に選ばれ、木の声が聞こえるユタは鎮森しづめもりに愛されている。病弱だったが丈夫になったのも、鎮森の力だろう。



何かに呼ばれた気がして、誰にも何も言わずに入った。森の木は転ばないように根を上げ、通してくれたトカ何とか。


他にも桃の実が美味おいしかったとか、歩き疲れて寝入ってしまったとか、楽しそうに話していたな。






「大泉から来る子に、この葉を入れた湯を使わせなさいって。」


ホウホウ。


「紅さまの家で暮らすと聞きました。だから、どうぞ。」


「ありがとう。」






先見さきみや先読の力を持つ継ぐ子の中には、ナタを『閉じ込めろ』とか『送り返せ』と言う子が居る。けれどユタはナタのため、この葉を持ってきた。



強い力を生まれ持ったワケではないが、鎮森に認められた子だ。次の社の司になる事が内内に決まっている。


そんな子がナタのために持ち帰ったのが、この葉。






「ユタ、ユタ。」


「はぁい。紅さま、また明日あした。」


「はい。また明日。」


母に呼ばれ、駆け出したユタが転んだ。ゆっくり起き上がったが、その目は潤んでいる。


「送ろうか。」


「いいえ。」






ナタは大泉で生まれたが、他の子と違って離れでは暮らさない。合わないようなら大泉に戻すか、良山よいやまに送り届ける事になっている。


それを知っているのはやしろの司、禰宜ねぎ、祝の三人。



離れで暮らすのは祝社はふりのやしろから、祝辺はふりべもりから逃げた子。親に会いたくても会えない、そんな子。


先読を持っているのだ、上手うまかわすだろう。けれど、もし。






「強くなります。」


「えっ。」


「強くなってナタ? 大泉から来る子を守ります。」


「そうか。」


「はい。」






・・・・・・守れる、のだろうか。外を駆け回れるようになったが、平らなトコロでも良く転ぶ。


先見さまが御力をふるわれるから、困った事にはナラナイだろう。けれど今でも、体が弱い。






「紅。こちらへ。」


「はい、昼さま。」






鎮野神しづめののかみの使わしめ、昼は大きなニホンオオカミのおに。その名の通り昼、担当。夜と交代で仕えている。


鎮野には根の国に繋がる口がある。その口を御守りくださる鎮野神は、その姿を御見せ遊ばす事がない。と言われているが御姿が見えない、御声が聞こえないダケ。


人のとき御坐おわす。






「頼みますよ、紅。」


「はい。」


ナタが鎮野に居る間は、どんな事があっても守り抜く。守り抜かねばナラナイ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ