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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1384/1595

16-39 受け入れるしかない


瀕死ひんしのジロを救う方法は他にもあった。にもかかわらず、その肉体を奪った理由は一つ。




「隔世型優性遺伝。」


予知の才をもってしても未来は変わる。変わるのだが変わらない事があった。


「フッ。」


ことわりに反したソレは希望。






ジロは人だが人とは違う。


それでも人の子の親になり、孫が生まれる前に老いて死ぬ。その子が母方、父方が持つ力、全てを継承。



残った王族は少ないが、新たな一族と違って永遠を生きる。処分されない限り。


生殺与奪の権を握るのは、その才を奪った化け王のみ。






成行なりゆきに任せるのも悪くない。」


人として死なねば即位できぬが、生き長らえれば人として死ねる。


のこせるだけ遺そう。」






ジロの体を奪って四年。


一年かけて確かめたのだ、戻しても耐えられる。けれど問題が一つ。






「かっカッ、カー。」


壁面に塗り込められていた大王、目をギョロギョロさせながら口角を上げる。


「兄上、落ち着いてください。」


「そのスがた、ワッ。」


ドタン。






ジロの肉体に魂を戻してから馴染むまで、どんなに早くても一年はかかる。


化け王城内から出す気はナイが、衰弱した兄姉が狙うカモしれない。だから長兄を出し『間違いが起きぬよう、重ねて注意を』と思ったのだが。






「貧血ですか。」


一滴残らず抜きましたが、才を失っても王族。造血機能を活性化させられるでしょう?


「そのヨうだ。かっカッ、カー。」


烏じゃないんだから。


「何ですか。」


生まれたての小鹿のようにプルプルする兄を突き放せるホド、カーは冷たくない。


「ベンをトッ、止められずスッ。すまなかった。」


右手を胸に当て、首を垂れる。


「兄とシテ、謝罪スル。」


丸くなりましたね、エド大王。






正妃から生まれた第三王子、ベンは異母兄弟を嫌っていた。


化け王を、収集の才を警戒していたのだろう。第五王子であるカーを戦場に送るよう父王に進言。それをたしなめたのは第一王子、エド。



アンリエヌを統治するのは大王、化け王など不要。


収集の才は反逆者を無力化し、収監するためのモノ。化け王は大王に忠誠を誓う看守。それが思い込みだと気付いたのは、才を奪われた後。






「たノむ。」


仮死状態になれば数万年、耐えられる。古い文献にあったが大嘘だ。


「ベンとウィを。」


『今、直ぐに』とは言わない。柱から出してやってほしい。


「・・・・・・闇に生きると。」


「はい。」






カーは我らをアンリエヌから、旧王城地下から出す気はない。永遠に。


受け入れるしかない。才を失った王族は、はじまりの一族は化け王に縋らなければ生きられぬと。


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