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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1383/1595

16-38 それが人か


『光陰矢のごとし』と言うが、瓶詰されてから三年。


カーに肉体を奪われたジロは、今も十一歳のまま。




「そろそろか。」


化け王城から離宮を眺め、カーが呟く。






適当なうつわを探しては捨て、探しては捨てて明らかになった事がある。


はじまりの一族に奪われた人体は、その大半が五年以内に崩壊。



ジロを生かすため、はじまりの一族の血を入れた。


急激に活性化した細胞は増殖し、欠損部分が再生。副作用は今のところ、認められない。






トントン。


「失礼します。先ほど制止を振り切り、領海に入ったマドワイアの舟がタルシェ沖で沈没しました。」


「そうか。ありがとう、ネージュ。ゆっくり休みなさい。」


「ハイッ。」






スパルタ、アテネを中心とする都市国家の隆盛期はギリシアの最盛期でもあった。けれど、それも長く続かない。


アテネ陣営とスパルタ陣営の対立は抗争に発展し、ギリア諸市の自治を崩壊させたのだ。



都市国家間の抗争が続く間にマドワイアが台頭。


夷狄いてき軽蔑けいべつしていたマドワイアの支配下に入る事になるだろう。






「愚かだ。」


マドワイアは今後も戦争の混乱に乗じ、巧みに勢力拡張に努める。


「タルシェに仕掛けなければ、それで良い。」






タルシェの海に複数の罠を仕掛けた。


浮標ふひょうの管理と領海侵犯者の処分を海の魔族に任せたが、荒事は夜間に行うよう厳命してある。



アンリエヌ領となったのだ。自殺志願者でない限り、不法入国する事はない。


と思ったのだが、何を考えているのだろうか。






「自ら進んで、わざわいに身を投ずるとは。」


理解に苦しむ。


「それが人か。」


迷惑料として金を十隻分、要求しようかな。






歯は小さくて数が多く、上顎骨と顎間骨は扁平。四室からなる胃は食いだめするのに便利。はい、イルカです。


嗅覚はアリマセンが聴覚は優れており、知能だって高いのよ。



イルカの群れは繁殖以外にも餌を探したり、天敵の回避を協力して行う機能があります。凄いでしょう。


イルカに好き嫌いはナイけれどイカ、イワシ、エビも食べるわ。



カワイイからって不用意に近づくと、うふふ。噛みつくわよ。






「ギャァッ。」


バシャバシャバシャ。


「助けてぇ。」


ブクブクブク。




イルカも和邇わにもクジラ目ハクジラ類。知能が高く、よく芸を覚えるが近づいてはイケナイ。




「この機をのがすな。」


♪食いだめ食いだめ、食えるダケ食え! ルルル美味おいしく頂こう♪


「ヤツらがキタァァ。撤退だ、テッタァァイ。」


「ひえぇぇ。」






血の匂いを嗅ぎつけ、海の暴れん坊が集結。


もちろんタルシェには近づかない。


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