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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1380/1594

16-35 お待たせしました


タルシェがアンリエヌ領になった。その知らせはローマにも届き、皇帝や将軍たちを慌てさせる。



アンリエヌは強国。


タルシェを足掛かりにムルピア海、周辺諸国を征服。領土拡大してもオカシクない。そう考えたのだ。






「思った以上に荒れているな。」


島の三分の二は不毛な岩場で、入り組んだ海岸線に険しい山が切り立つ。


「入植者も逃げ出したか。」


気候は温暖だが比較的、乾燥しており平和と充実の象徴、オリーブの栽培にも最適。


「塩害?」


は無い。放置されたと思われる畑に、葡萄の木が生えている。




観光資源にする予定なので、遺跡が眠る場所は後回し。タルシェ王朝時代、畑だった場所を中心に調査開始。




「これで良かろう。」


才を使えば、どんな荒地も耕地になる。


「次は家屋。」


タルシェ建築で、と思ったがめた。


「石や煉瓦れんがより圧縮に強く、耐火に優れたコチラを。」


地下一階、地上二階建て集合住宅はコンクリート造。


「おやおや。」


西方より生命体が、こちらへ高速接近中。






タルシェ上空に現れたのは、大きな翼を持つトカゲ。ではなく飛竜。


着地点を探すも、下手に着地して何かあれば一大事。旋回しながらグルグル悩む。



はじまりの一族というダケでも厄介なのに、相手は収集の才を生まれ持つ化け王。それも歴代最強と謳われるカー王で在らせられる。






「命を吸われたいか、魂を吸われたいか。好きな方を今、直ぐに選べ。」


エッ。


「飛竜は捨てるトコロが無いからな、建材に」


「只今! 直ぐに参りますぅぅ。」


飛竜、急降下。海面着水してからフワリと離水し、タルシェに上陸。


「お待たせしました。」


ゼイゼイ、ハァハァ。






肩で息をする飛竜はあごの下に七色のうろこを持つ、火属性の災害級魔獣。オス。卵時代、何代目かの化け王に遭遇。


未熟児として誕生した理由は一つ。『うまそうだ』と聞こえ、慌てて殻を飛び出したから。



アッサリ捕まり、『短い竜生だった』と心中で嘆く。が次の瞬間、『偶には肉も』と言われ号泣。


怖いよ眠いよ、死にたくない。プルプル震える幼竜に同情した化け王は、アンリエヌに禍を齎さない事を条件に放つ事にした。






「なぜ起きた。巣へ戻ると良い、眠かろう。」


「はい、ありがとうございます。ん? 恐れながら。」


「申せ。」


「はい。はじまりの一族はアンリエヌから出ぬと昔、伺いましたが。」


ドキドキ。


「タルシェもアンリエヌ領となった。」


そうなんだ。・・・・・・ホエッ。


「案ずるな。コルイノには手を出さぬ。」


ホッ。


「許し無く近づけば、解るな。」


「ヒャイッ。」


領空侵犯のみならず、領海侵犯までシテしまった。鱗、いや爪の一本二本奪われても文句は言えない。


「行け。」


「はい、おやすみなさい。失礼しますぅ。」


翼を広げて助走し、空へ。


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