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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1378/1595

16-33 安全第一、命は一つ


今なら分かる。里ややしろの人が止めたのは、こうなると気付いていたから。



化け王に体を、じゃなくて救われる事じゃない。


獣を見つけて、狩れもしないのに立ち向かう。襲われても逃げられず、そのまま動けなくなる。それで生きたまま食われるか、これまでの事を悔いながら死ぬ。


そんな末さ。






「特別な血が体に馴染なじむまで、この空間から出られない。だから今、出来る事をする。それだけ。」


ウン。


「今日も張り切ってイッテみよう。」


オウッ。


「オいっちニッさんシッ、にぃニッさんシッ。」


謎ダンス、再び。






体が温まったらストンと腰掛け、気合を入れて勉学に励む。


やまとは島国だがアンリエヌは山国。周辺諸国の言語に通貨、文化・風習に加えて宗教観。地理や歴史も必須。


覚えることが多過ぎて眩暈めまいがする。



本来なら助からない大怪我をしたのに、こうして生きているのは化け王の御蔭。


はじまりの一族から血を分けて貰っても、その血が体に馴染んでも人は人。特別な力が現れる事は無い。だから努力しなければイケナイ。






「・・・・・・この国、すごいな。」


いろんな事が進んでいる。


「当たり前か。」


はじまりの一族が建てた国だもん。人のと同じワケないよ。


「黒髪は居る、黒目も居る。でも平たい顔した黒目黒髪は珍しい。見つかったら捕らえられ、見世物にされるだろうな。」


ブルルッ。


「血が馴染んでも許可なく、やまとに戻されるまでココから出ないゾ。」


戻れる、よね。






乱雲山には戻れないケド、やまとに戻れるなら戻りたい。だって余所者よそものだもん。どう見ても、どう考えても違うよ。


父さんたちと違って宝の力なんて無いし、誰かの役に立てると思えない。



化け王城内は安全だって、人より魔物が多いって聞いた。


ソレって城外では魔物より、人の方が多いって事だよね。コレといった何かを持たない小さいのが、城外をウロウロすればドウなる。


考えるマデも無い。きっと悪いのに捕まって、血を一滴残らず抜き取られるんだ。






「うん、出ない。言い付け破らない。」


安全第一、命は一つ。


「『攻撃は最大の防御である』と言えるのは、周りに優秀な人しか居ない、恵まれたヤツの言う事さ。」


裏切られたらオワリだよ。


「学問と武術に秀でた人格者なんて、ほんの一握り。いいや、一撮ひとつまみだね。」


ウンウン。






ドサッ。ドサドサドサッ、ドサッ。


「あらまっ。また、ですか。」


ドサドサドサッ、ドドドドドォォ。


「多いな。」






アンリエヌは大国、それも強国。はじまりの一族が治める国だ。人が束になっても勝てない、敵わない。


表を大王、裏を化け王ってのは昔の話。才を持つ王族は現、化け王だけ。だからカー様がアンリエヌ国王。



アンリエヌ国民は王族が皆、はじまりの一族だと知っている。それでも従うのはアンリエヌが、この惑星で一番安全だと知っているから。






「フォンデュにリゾット、ソーセージ。どんな味なんだろう。きっと、とっても美味おいしいよね。」


ウットリ。


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