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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1374/1594

16-29 小島を一つ


はじまりの一族は短命で、滅多におもてに出ない化け王を軽視していた。


化け王は大王の手足でも精神衰弱でもないのに、そう思い込んだのは知らなかったから。



化け王は三歳で即位させられ、化け王城という名の塔に幽閉される。と同時に歴代の全てを継承し、悟るのだ。


全ての才を生きている間に収集しなければ、アンリエヌは大王の愚策によって滅亡すると。






「そうか。」


兄姉を出すのは、まだ早そうだ。


「新たな一族の中には『このまま地下で』と、強く願う者も居ります。」


その大半がジョド大王、エド大王の治世を知っている年長者。


「親から子、その子へと語り継がれたのだろう。」


民間説話とは異なり伝説、世間話は含まれない。


「はい。」


リュンヌが微笑む。






リュンヌは金目黒毛で、人の姿に化けられる蝙蝠こうもりの魔物。離宮地下で暮らす新たな一族を監視している。


一匹狼ならぬ一匹蝙蝠は昼行性で、冬眠もせず巣穴で生活する希少種。



ちなみに巣穴は鳥の谷にある拠点同様、ステキ空間に改築・改装済。






「残りは選ばれた者の友人、親類縁者か。」


離宮地下二階には国家試験に合格した、新たな一族が配属される部署がある。化け王の才で隔離されており、生きて旧王城地下へ戻る事は出来ない。


「はい。」


娯楽は少ないが寮、完備。検閲されるが手紙の遣り取りは可能。






新たな一族もアンリエヌの民。長らく人口抑制政策が採られていたが、定数に達してからは二子まで認められるようになった。


勿論、義務教育は受けている。



はじまりの一族の末裔だ、と主張しても無駄。


エド大王、ジャド大臣、ベン大臣、ウィ大臣も才を奪われた。ベン大王は処刑され、他の王族は幽閉中。何を言っても守ってもらえない。






「採用数を増やしたいが、難しかろう。」


職場恋愛の末、結婚。他と同じく二子まで認められているが、第二子が双子なら特例として養育できる。


「優秀な子が増えるのは喜ばしい事ですが、広さに限りが御座います。」






旧王城地下で生まれた日光に強い子は、離宮地下でも誕生している。その大半が少量の血で生きられる新種。


身体能力が高く、耳も良いので要人警護や特殊任務に就く事が多い。



人と同じように生活できるが、人とは違う生き物だ。色白で整った容姿をしていることもあり、異性から思いを寄せられるがハッキリと断っている。


子を望めないから、と言って。






「旧王城地下の民も、離宮地下の民のように暮らせれば良いのですが。」


「そうだな。」


予知するたびに変わるのが未来。


「カー様?」






離宮地下で誕生した新種は、生焼けの肉を食せば人と同じように暮らせる。とはいえ日光を浴びると淡く光るので、夏でも長袖長ズボンを着用。



晴天なら鍔の広い帽子か、遮光性の高い布で頭から顎の辺りまで覆い隠す。曇天でも気を抜けない。


人とは違うと気付かれれば、どんな理由があっても殺処分されてしまう。






「ムルピア海に浮かぶ小島おじまを一つ、飛び地にするか。」


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