表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1371/1594

16-26 新たな扉


はじまりの一族が建てた国、アンリエヌには大王と化け王が居る。おもてを治める大王は、裏を治める化け王に逆らえない。



民は知っている。


収集の才を生まれ持つ化け王は、その生を終えても全てを引き継ぐ。


武力や権力で国力を維持する大王と違い、叡智えいちに富む化け王は思いやりの心で国を発展させると。






「・・・・・・。」


姿形すがたかたちは違っても化け王は化け王。顔が平たくても幼児体型でも、どう見ても子でも構わない。


「申せ。」


「ハッ。化け王城に御籠り遊ばすのは、その御体を守るためでしょうか。」


「そうだ。」




化け王が王位を奪うのは、大王の愚鈍さに耐えられない時。


化け王の治世は平和そのもの。長く続いてほしいが残念ながら、化け王は短命で在らせられる。けれど当代は不老不死。



なのだが一体、何が。


いや待て。大王の治世に宰相を務めていた私を認め、新たな一族を纏める役目を与えてくださった。その賢王が為さる事。




「バルト。変異種が大半を占めても、新たな一族を統制せよ。」


おおせのままに。」




化け王に裁かれた王族は才を奪われ、旧王城地下に幽閉されている。才を失った王族は、化け王に保護されなければ生きられない。


収集の才を生まれ持つ化け王には逆らえない。王族でも民でも皆、同じ。




「数年で戻る。」


「ハッ。」






この体に秘められた力は強い。全ての細胞が再生するまで、どんなに早くても五年はかかろう。


焦ると腐敗し、無に帰する。




「またか。」


アンリエヌの国境を越えれば、瞬時にさばいて格納される。隊商たいしょうが来たと思えば良いのだろうが、こうも続くとウンザリしてしまう。


「どうしたモノか。」


倉庫に空きがある。才を使えば幾らでも入るから、生物でも気にしない。


「取り敢えず、仕分けるか。」


ソレが済んだら、一から教育を施そう。」


ジロでなくても、ただ待つのは難しいモノ。




ここ数年、静かなのは飢饉ききんに見舞われたから。


援助を求めれば良いのに派兵し、多くを失っている。だから可能な限り、叩き込まなければ。



いつか生まれる後継に全てを託すため、準備を進めてきた。けれど、このうつわ。思った以上に幼い。






「喜べ、ジロ。新たな扉が開くぞ。」


「トビラ。ここから出られるの?」


「いいや。」


「なぁんだ。」


プイッ。






ジロを体に戻さないのは、人には耐えられない痛みの所為せい。九割以上、再生されなければ戻せない。


もし今、戻せば死ぬだろう。



とはいえ、長らく待たせて良い事はナイ。解っているのだが、ドウにもナラナイ事もある。






明日あすから授業を始める。しっかり学べ。」


「ジュギョウって何。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ