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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1366/1594

16-21 悪夢、再び


化け王が狙った子を祝辺はふりべが、おにもりが奪えると思っているのか。奪えっこナイ。


ケッ、押し付けやがって。






「何が『谷河たにかわの狩り人にたくせ』だ。その前に動かなけりゃ、どんな子もさらえないじゃナイか。」


ブツブツブツ。


「なぁ平良ひら。そろそろ雲から出て、ん。」


「カァッ!」 ウワッ!


見開き、くちばしを開いたままカチンコチンに凍らされた。そのままヒュゥっと真っ直ぐ落ち、短かった鳥生を振り返る。


「イデッ。」


平良に乗っていたは振り落とされ、フワフワ浮かんですぐ凍らされた。パチンと弾かれ、ピキッとひびが入る。


このまま落ちたら隠でもアブナイ。




・・・・・・ここ、どこ?




「グヲォォ。」 ハラヘッタァ。


「クッ、喰隠くおぉ。」


乱雲山のふもとに入ったのに、入ったハズなのに。


「平良! 平良。」


烏とはぐれた隠の守、涙目。


「何で戻ったんだよぉぉ。」






喰隠は山守の北にそびえる、喰谷くたに山にある隠の刑場。喰谷山は霧雲山系で二番目に高く、中心に在る喰隠から常に呻き声が聞こえる。






「ヴヲォォ。」 ミィツケタ。


「来るな、近づくな。アッチへ行け。」


集めに集めた闇を抜かれ、スケスケのヒラヒラになった八の声なんて届かない。


「ヲォォ。」 ホカノトチガウ。


ガブッ。


「イぃヤぁぁぁ。」


悪夢、再び。






祝辺の守にも困ったモンだ。いとし子とは違うケド、ブランさまが守る子を狙うなんて信じられない。


言われた通り運んだケド、壊れるまで出られないんだろうな。






「さぁて、戻るか。」


その前に確かめよう。ひとやを出たジロが言い付けを思い出し、なごみに戻るカモしれない。


「戻ったら戻ったでイロイロありそうだけど。」


ずっと守られてきた子が御山の外で、長く生きられるとは思えない。


「ん。」


真っ白。


「ハッ、そうか。」


ココは化け王の。






特質系・隔離はジル王が三番目に創造した才で、あらゆるものを隔てて離す。


祝の力は通じない。






「私は雲井社くもいのやしろ禰宜ねぎ、クラと申します。霧雲山、祝辺の守に狙われた子を遠ざけるために力をふるいました。」


・・・・・・。


「やまと人のとき、乱雲山に戻してください。」


ペコリ。


「目を閉じ、そのまま進め。」


「ありがとうございます。」






クラが目を閉じて直ぐ、何かがスッと動く。


背から風が吹いたので歩を進めたが、フワフと浮いているようだ。けれど怖くてまぶたを開けない。






「ウッ。」


明るい場所に出たのか、瞼越しでも眩しい。


「目が慣れるまで動くな。」


「はい。」




クラが立っているのは人の世、乱雲山にある麓のほらの前。迷うことはない。


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