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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1364/1595

16-19 まだ、そんな事を?


祝辺はふりべもり


霧雲山の統べる地に人外を派遣し、異物を排除するバケモノ集団。選ばれた者が人の守となり、死ねばおにの守となる。



選ばれなかった者は酷使され、隠になっても鎮森しづめもりから出られない。






「まだ、そんな事を?」


「何が『そんな事』ですか! やしろの司なら分かるでしょう。山守神やまもりのかみ生贄いけにえを、人柱ひとばしらを御求めなのです。なのに、なのに山守社やまもりのやしろの人は揃いも揃って。」


山守の村長むらおさが嘆く。


幾度いくたびでも言いましょう。山守神は生贄も人柱も『要らぬ』とおおせです。」






山守の地は日当たりも風通しも悪く、若く身軽な者は山越を目指す。山越の地も豊かでは無いが、山守よりは暮らし易い。



山守はテイの呪いから解放された。なのに今も、アチコチから闇が噴き出している。


暗躍しているのはカヨ。






「♪ アチコチで噴き出した 深く濃い闇 嘆いても消えないから 離れてみよう ♪」


今日も楽しそうに琴を弾きながら、ティ小のうたを歌っている。


「ウフッ、また増えた。」


ライブは毎回、満員御礼。


「働け! 祝辺の守。」


ピッと闇を指差し、ニッコリ。






山守の民にさらわれ、山守の全てを呪いながら死亡。むくろは死臭が酷くなるまで穢され続けて闇堕ち。


呪いの種になったカヨは山守断種計画を実行中。






「♪幸せになると信じてみよう 諦めない 憎しみいだいたら 消えないんだよ ♪」


大岩の近くにいた隠が、潜んでいた何かをクルくるギュッ。ソレを持って広滝へ行き、優しくポイッ。






引っこ抜かれて丸められ、投棄されたのは山守から噴き出す闇の根。祝辺から流れ出した水は広滝を落ち、地涯滝ちはてだきに向かう。



『どんなに濃い闇でも清める』と言われているが、鎮野しづめのや大泉の水と比べれば大したコトは無い。


とはいえ清らなので、闇消しに最適。






「ヒッ。」


鎮森の民がポイポイするのを、広滝の上から見せられた継ぐ子たち。揃って真っ青。


「あの闇はね、逃げられないんだ。あのまま地涯滝から落ちて、滝壺の中でグルグルぐるぐる。」


ゴクリ。


「人もね、バラバラになるまで出られない。」


ゾゾゾッ。


「隠になっても。」


「ごめんなしゃい。もう、しません。」


祝社はふりのやしろから逃げようとした継ぐ子たちは理解した。どんなに願っても、死んでも戻れない事を。






祝社の継ぐ子は寄せ集め、というワケでは無い。中には他の社から託され、育つまで匿われている子も居る。


その多くはシッカリ守られ、祝辺の守でも手を出せない。



祝社に望まれ、迎えられた継ぐ子は違う。


人の守に選ばれれば良いが、選ばれなければ消滅するまで扱き使われる。






「おや、この感じ。」


「ヒュッ。」


息を呑み、怯える継ぐ子たち。


、何をしている。」


「とつ守。と、アタぁ?」


十三代、祝辺の守。十代と十五代、二人の守に挟まれゲッソリ。


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