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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1343/1594

15-61 手を出せば消されると思え


儺国なのくにの監視が始まった。


琅邪女王ろうやのめのうは今の幸せを守るため、王弟おおとは姉の意を汲んで計画を見直す。琅邪大王ろうやのおおきみは弟妹を支援することで、琅邪ろうやを守ろうとしている。






「思ったより明るいな。」


琅邪は小国。雨が少ないコトを除けば暮らし易く、海と山が近いので食べ物にも困らない。


「守りを固めたのか。」


だから狙われる。琅邪を落とせば、奪えれば食べ物とつわものが手に入るのだ。


「見当たらない。」


差し出されるのは奴婢ぬひ卑呼ひこ。女は死ぬまで産まされるから、育って逃げ出す事も無い。


「・・・・・・いや。」


琅邪女王は逃げた。逃げて足を折られ、雨降らしの力を得る。


弟を守るために強くなり、大王おおきみせがれを取り込んで這い上がる。


「まぁ良い。」


琅邪を調べても、見られて困るモノは出てこないだろう。隠すか燃やすかして、どこにも。




琅邪は強い。儺に内から仕掛け、小鬼を大王に据えたのだから。


儺に取り込まれた国ごと抱え込み、食べ物や水を分け与えている。それが出来る小国など、しづめ西国にしくにでは琅邪だけ。


他では難しいだろう。



琅邪女王神ろうやのめのうのかみ卑呼女ひこめ琅邪王弟神ろうやのおおとのかみ卑呼男ひこおだった事を隠さない。


今も、そう名乗るのは仕返しか?



琅邪の民、他の民も蔑んでいたモノに生かされている。その事を胸に深く、深く刻む。




「そうか。」


罠だ。


奴婢に落とされ、産まされた子が奴婢。その奴婢が幅を利かす。それを琅邪は、民は受け入れている。そう聞いたおさきみは仕掛けるだろう。


「この骨は、きっと。」


むくろは打ち捨てられ、獣がくわえて持ち帰る。だからバラバラになり。


「戻れ、ない。」


いや、そんな事はない。根の国で裁かれ、生まれ育った地に戻るもの。なのに闇を纏い、苦しみ続けるのは。


「考え過ぎだ。」


姉弟はおにから妖怪に、それも鬼になっている。だから他より強くて、人にも姿を。






オカシイ。隠は人に、生き物に姿を見せられない。何か居るな、と思わせるのがやっと。なのに姉弟は変わらず、人だった時と同じ姿を見せている。


変わり種だとしても、あの目は。



そうだ。光を奪われ、闇に魅せられた者の目。あの目を持つのは生きる望みを奪われ、それでも死ねない者たち。


人だった時から酷い扱いを受け続け、探していたのではナイか。思うように動かせる、踊らせられるモノを。




「難しい顔ですね。」


儺升粒なしょぶに声を掛けられ、サミが見開く。


たちを出た時から、ずっと居りますよ。」


「そ、うですね。」


この男、そうか。鬼だったな。




人だった時、儺国王だった男。隠になっても耶万やまに奪われた妹を探し続けた。


解かる、が許さん! やっと落ち着いたのに、琅邪を儺の代わりに。なんて考えているなら潰す。




「おめください。」


心を操る力。


きっと隠にも、獣にも効くのだろう。琅邪大王に操られても、直ぐに消えて元に戻る。けれど、そうだな。何をしようとしたのか、判らせるか。


「隠のときで選ばれ、人の世に戻されたのです。儺を調べるために。」


手を出せば消されると思え。


「そうでしたね。」


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