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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1341/1595

15-59 何かを、誰かを守りたいなら


琅邪ろうやがドウなっても、滅んでも困らない。イオがいれば、イオが幸せならソレで良いの。


幸せに暮らせるなら、もっと良いわね。



もし今、琅邪を捨てたら、きっと儺升粒なしょぶが暴れる。


考えや動きを操る、あの力。今は効かない。けれど死んで、同じ鬼になったらドウなるかしら。






女王神めのうのかみ。」


「どうしたの、儺升粒。コワイ顔をして。」




卑呼女ひこめさま。どうか、どうか琅邪を見捨てないでください。


今。いいえ、これからも琅邪は狙われます。卑呼ひこ姉弟が居るから、その力に守られているから手出しされないダケ。



いつか人として死ねば鬼に、この力を思うようにふるえるのでしょうね。けれど恐ろしい。その時、同じように動けるでしょうか。


民を人と思わない、あの父王のようにナラナイ。そう言い切れないのです。




「儺升粒。子は親を、親も子も選べない。でもね。」


・・・・・・はい。


「儺升粒の兄さま。」


えっ。


「儺升粒が守りたかった人も、あのきみせがれよね。」


そう、だ。兄さん。




ミチさま、イオさまがおにときへ移り住まれても、人の世にとどまる事は出来る。この力、琅邪を他から守るため。


儺を前に出せば守れるんだ、守るさ。



兄さん、見守っていて。あの男に出来なかった、考えもシナカッタことを為すよ。


アレに叩き込まれた事、すべて使ってやる!




「儺升粒。」


「はい。」


「他の地で暮らす妖怪の国守は、引き取った合いの子もユックリ老いている。そう聞いたわ。」


「・・・・・・はい。」




琅邪は守る。いつか死んで鬼になっても、祓い清められるまで人の世で守る。


兄さんが聞かせてくれた、みんなが笑って暮らせる国にするんだ。




「ねぇ、儺升粒。何かを、誰かを守りたいなら顔に出さずに笑いなさい。」


「顔に、出ていましたか。」


隠していた、いや隠せていると思ったのに。


「出ているわ、今も。」




怖いと思う。顔は笑っているのに冷たい目をしたり、何を考えているのか分からなかったり、近くに居るのに遠くに感じる。ずっと前から。



奴婢ぬひの子は、生まれた時から卑呼ひこ


男は骨と皮になるまで扱き使われ、動けなくなって死ぬ。女はソコソコ食べさせてもらえるが、親が分らない子をポコポコ産まされて死ぬ。



ミチさまは八つから。


逃げ出して足を折られ、雨が降る時を言い当てるようになった。それで扱いが変わり、イオさまと暮らせるようになったと聞く。



きっと他にも言えないような事があって、それを忘れられず、今も苦しみ続けて御出でだ。すべて父王が、あの男が悪い。


その倅なのに。




「社を通せば、他では生きられない合いの子が引き取られる。中の東国ひがしくに明里あかりだったかしら。」


「はい。」




明里王あかりのきみ悪取神あとりのかみ。はじまりの隠神に認められ、人の世に留まり為さった国つ神で在らせられる。



明里のおさは人。悪取神に救われ、他から移り住んだ人の子や孫。


これからも続くのだろう。


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