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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1330/1601

15-48 触りたくないなぁ


マルが糸に祝の力を纏わせ、織った布を縫い合わせた。


見た目は小さいが、その容量は明里あかりのタプタプ袋と同じ。残念ながら使い捨てなので、悪鬼おき嫌呂きろろも家宝にしようと思っていた。


のだが、使うしかナイようで。






「くぅぅ、もう!」


「そこの鬼、隠れてナイで出てこい!」


荒ぶるコンコンず。


「おや、お気づきでしたか。」


ミチが微笑む。




離れた場所から見ていたが、姿を現さなければ潰される。そんな気がして出てきた。ミチの隣にはイオ、その後ろに控えているのも鬼。


分狐わけぎつねは一つになって、尾を抱いてジッとしている。




「あの倉、いややしろか。隠しているな。」


悪鬼が目を細める。


「フフフ、どうでしょう。」




嫌呂が袋を開き、危険物を一つづつ入れている。そのたびに清らな光が漏れるので、小さな妖怪がガタガタ震えだした。




「イオ。」


「はい。」




姉弟は他のおにや妖怪の思考も読む無形なりに恐れを抱き、黙って従う事を選んだ。悪鬼と嫌呂は違うが、無形は焼山やけやまに居る。


同じしづめ西国にしくにだ。何か起これば、いや起きる前に動くだろう。



スタスタと社に戻り、つきに入れた紅玉を差し出す。白い筋の奥から闇が出ていて、禍禍まがまがしいとしか言えない代物だ。触れれば乗っ取られるか消される。


そう考えたのだが・・・・・・。




「触りたくないなぁ。」


と言いながら、嫌呂が狐火で包んで袋に入れた。


「早いな。」


悪鬼が驚く。


「プルン。」 トケタノカナ。


無形が袋を覗き込み、縦に伸びて縮む。




闇喰らいの品が、あんなに有ったのに残らず清められた。


きっと生き物でも、人でも妖怪でも清めてしまうのだろう。そんなオソロシイ品を持ち歩くのか、あの狐は。



いや違う。袋の中から闇を、渦巻く思いも感じない。となると一つ。あの袋に入れられた品は、どんなに強く深い闇を纏っていても清められてしまう。


サッと、スッと清められるのだろう。




「解っていると思うけど、また出たら。」


「はい、狐さま。急ぎ大社おおやしろへ。」






大社に持ち込まれても、稻羽いなばにはドウする事も出来ない。だから清め水に沈めてから隠のとき和山社なぎのやまのやしろに使いを出す。



マルは良山よいやまにある大実社おおみのやしろを通って、隠の世に入ったり人の世に戻ったりする。和山社に持ち込まれたアレコレを清めるために。






「プルルルルン。」 シラベオワッタヨ。


儺国なのくにの民は、とても疲れているね。他から移り住んだから、いろいろ考えながら生きている。


ザッと調べたダケだけど、十王が統べるんだ。いくさになる前にドウにかするだろうよ。けどね、危ない品を埋めて隠すのはイケナイな。


「あっ、あの。」


吉舎きさがオドオドしだした。


「プルン。」 ワケヤシロ。






儺国に隠されていたアレコレ、全て浄化完了。


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