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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
133/1573

5-60 緊急連絡


その頃、釜戸山では。


「エイさまぁぁぁ!」


「落ち着け! この震え、釜戸山では、ない。」



ナガに抱きしめられたまま、静かに言った。心の中では、大騒ぎ。祝とはいえ、幼子である。父にしがみついていることは、大目に見てほしい。



「ま、まことで、すか。」


「落ち着いて下さい、シロさま。」


「ろ、ロク。怖くないのか?」



いや、何を言っているの? っていうか。伯父さん、社の司でしょう。はぁぁぁぁ。甥として、恥ずかしい。


それに引き換え、ナガさん。エイさまを抱えたまま、テキパキと命じて。オレの心を、引き付けて離さない。



「父さま、下ろして。」


コソッと、可愛く。


「気をつけるんだよ。」


「ありがとう、父さま。」



あ、愛らしい。抱きしめたい。いや、落ち着け。娘とはいえ、祝だ。何か、考えがあるのだろう。



「エイさま。ど、どちらへ?」


「シロ、見よ。いつもと同じ、白い煙だ。」


「そ、うですね。」



釜戸山じゃない。とはいえ、あの震え方。近くにある火の山まで、かなり離れてるって。いつだったか、木菟ずくが教えてくれた。




「エイ。」


「ポコさま。あっ、お待ちを。」


「酒は、よい。はよう、はよう。」



「エイよ。私では、ないぞ。」


「はい。」


「とはいえ、浅い地で震えた。魂迎湖の西、釜戸山みっつ、離れた辺り。」



「他の火の山が噴いたのでは、ないのですね。」


「そうだ。しかし・・・・・・、・・・・・・。」




「皆。心して、聞いてほしい。」



地が震えたのは、他の火の山が噴いたからではない。浅い地で震えたので、大きくなった。


このたびの震えで、釜戸山が噴き出すことは無い。そのことを忘れず、二度ふたたび、強く震えても、慌てないように。


火を扱っている時に震えたら、しっかり火を消す。冬を越すために、食べ物も、薪も、蓄えてある。とはいえ、家や倉が燃えれば、ひとたまりもない。


冬は、とても乾いている。火の回りが早く、危ない。そのこと、心にしっかりと刻みつけるように。


何かあれば、どんなに小さなことでも、長へ。長は社へ、必ず伝えるように。



「シロ、タカ、フサ。それぞれ、長に伝えよ。」


「はい。」



シロは、守り長。タカは、狩り長。フサは釣り長に伝えるため、社を出た。


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