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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1329/1595

15-47 狐だって撫でられたい


何だ、あの生き物は。足も翼もない、狐の背に乗ってプルプルしているアレが社憑き? 刺せば割れそうだな。




「プルン。」 キコエテルヨ。


「エッ。」


「プルルン。」 ロウヤノオオキミ、ダヨネ。


「ナッ! 誰だ。ドコにいる。」


「プルルル。」 キツネノセニイル。


・・・・・・。


「プルン。」 カクシテモワカルヨ。




あらゆる生物の思考を読む無形なりから『隠しても分かるよ』と言われた儺升粒なしょぶ、驚愕。次次つぎつぎ琅邪ろうやの、儺国なのくにの闇を暴かれて膝をつく。




「知られた。」


すべて知られてしまった。もう終わりだ。


「プルル。」 コレカラドウスル。




兄さん、ごめん。兄さんが造りたかった豊かで、穏やかで、和やかに暮らせる国に近づいたのに。


子がね、増えたんだ。女が強くて、笑っている国は強いんだよね。琅邪も良い国に、兄さんが話してくれた国に近づいたと思う。なのに、なのに、なのに!




「立て。」


人の姿に化けている悪鬼おきが、小さいが良く通る声で言った。


「はい。」


儺升粒がフラフラと立ち上がり、顔を上げる。


「隠し持っている品、全て出せ。焼く。」




スッと目を細めた二妖。悪鬼は右回り、嫌呂きろろは左回りに狐火を展開。アッと言う間に琅邪をグルリと囲む。


青い炎は全てを、白い炎は動かないモノを、青と白の炎は動くモノを焼き尽くす。それが狐火。琅邪を囲んでいるのは青と白の炎だが、生きているようにも見える。




「おっ、お待ちください。今すぐ、お持ちします。」




悪鬼も嫌呂も本気だった。出張手当がつく、とはいえ遠方。それもしづめ西国にしくに


隠し事が出来ない相手を警護しながら情報収集するのだ。良村よいむら美味おいしい干し肉に加え、めぐし子からナデナデされなければ割が合わない。



良村よいむら大蛇社おろちのやしろ


はじまりの隠神、大蛇神おろちのかみの社は石積み。建てたのは守りと清め、二つの力を生まれ持つマル。飼い犬マルコは蛇神の加護を受け、老犬なのに若若わかわかしい。


そんなワンコがピッタリついている。となると。




「サッサとしろ。」


「息せず走れ。」




祝の力を二つ、思いのままに扱える。そんな愛し子にナデナデされるなら、どんな務めも果たします!


狐だって撫でられたい。真っ直ぐ伸びた太い尾を、ワンコのようにブンブン振るヨ。耳だってパタンとするヨ。






「多いとは思ったケド。」


「集めたねぇ。」


「プルルゥ。」 タメコミスギ。




呆れる三妖、揃って溜息。


当然です。うずだかく積まれたソレは全て、闇を纏った危険物。叢闇むらやみの品は無いけれど、禍禍まがまがしい闇喰らいの品ばかり。


鬼には負けるが妖狐も強い。纏めて消し炭にして、儺国を隈無く調べよう。と思うのに、思い通りにはナリマセン。




「使いたくなかった。」


肩を落とす悪鬼と嫌呂。


「プル、プルルン。」 マヨウナ、ツカエ。


無形がプリンのようにプルプル揺れ、跳ねる。


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