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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1328/1595

15-46 儺升粒は悩む


特命を受けた悪鬼おき嫌呂きろろ湯溜ゆだまの社憑き、無形なりを守りながら儺国なのくにを視察。


する前に湯溜社ゆだまのやしろから琅邪社ろうやのやしろへ、使い火が遣わされた。






「儺より先に琅邪ろうやを、と。」


動物になら毒を盛れるが、火の粉に毒は盛れない。


「怖いコト考えていますね。」


イオが驚き、見開いた。


しづめ西国にしくにを纏めたのは、いくさを止めたのは琅邪。けれど毒はイケマセン。」


何も言わないが、ミチも驚いている。


「神が人に盛るのは、どうでしょうね。」


姉弟、揃ってドキリ。


「紫の煙、他の毒も琅邪から出さぬよう、シッカリと守ってください。」


おおせのままに。」


としか言えない!






ミチは琅邪女王神ろうやのめのうのかみ、イオは琅邪王弟神ろうやのおおとのかみ。社の司は琅邪大王ろうやのおおきみ儺升粒なしょぶ


ミチとイオは生き神で鬼。儺升粒は半鬼。継ぐ子の吉舎きさ大王おおきみに据え、儺国を手に入れた。ココまでは良い。



隠せていると思っていた、知られてはイケナイことも明らかになっている。紫の煙は琅邪でしか作れない。もし知られれば、広まれば狙われる。


戦を仕掛けられるか攻め込まれ、多くの命が奪われるだろう。






「調べに来るのは社憑き。」


ゴクリ。


「守るのは狐。」


エッ。


「強いですよ。」




火の粉なのに、とても小さいのに炎に見えた。姉弟と儺升粒は悟る。歯向かえば、手を出せば消されると。




「琅邪の外れに石積みの社が御座います。どうぞ、御使いください。」


ミチは考えた。いつかイオと共に、人のときを出る時が来る。その時、受け入れてもらえるように従おうと。


「揃える物があれば、何なりと。」


イオは考えた。いつかおにの世に行くカモしれない。その時に備え、従おうと。


「お待ちして居ります。」


儺升粒は考えた。琅邪を守るには、受け入れるしかないと。




無形は兎も角、悪鬼と嫌呂は狐。石積みの社より木のほらや、雨風が凌げる人家が良い。けれど何も言わず、パチンと弾けた。




「姉さん。」


「イオ、儺升粒。琅邪を、儺国を調べるダケよ。社憑きや継ぐ子を社から出さず、見守りましょう。そうだわ、分社わけやしろにも。」


「そうだね。」




姉弟は生き神になったが、石積みの社には入れなかった。だから倉で暮らしている。


見つけた社は崩れていたので、手を加えて整えた。いつか使える日が来るかもしれないと。




「整えておいて良かったわ。」


「あの中、どうなっているんだろうね。」




姉弟の話を聞き流しながら儺升粒は悩む。


狐が守る社憑きに、何を御出しすれば良いのだろう。酒か、湧き水か。食べ物は団子か、魚や貝か。そのままか焼くか。




「湧き水と団子を供えしましょう。」


「そうしよう。儺升粒も、良いかい。」


「はい。」


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