表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1327/1596

15-45 断れないヤツだ


サミは儺国王なのくにのきみ四彦よつひこ幼子おさなごの頃から一人づつ、兄を陥れたり死なせたりして跡継ぎになったキレモノ。


末の妹、ココにダケは優しかった。



ココが望まないと言い切り、弔い合戦では無く生き残る道を選んだ。


好戦的だが引き際を見極める事に長けていた王は、去る者は追わず、来る者は拒まず。裏切ったり背かない限り、殺す事は無い。



儺を再興してから眠るように死亡。死因は過労死。


若くしておにとなり、『ココが居ない人のときでは暮らせない』と郡山こおりやまに移り住む。






「・・・・・・そうですか。」


流山ながれやまで暮らす妖狐、悪鬼おきが微笑む。


「狐二妖では少し、難しいかと。」


悪鬼の相棒、嫌呂きろろもニコリ。




流山は中の東国ひがしくに、霧雲山の統べる地の南に在る。


他の隠の世では暮らし難かった隠や妖怪が改心し、穏やかに暮らす地を御治め遊ばすのは梟神。



悪鬼と嫌呂は狐だが、大蛇神おろちのかみの使いを務める。使わしめでは無いが、その首にげているのは大蛇社おろちのやしろの札。


めぐし子マルの加護つき。




湯溜ゆだまの社憑き、無形なりを守りながら務めよ。」


尻尾がゾワワとなり、黙って抱きしめたコンコンず。


「マルの力が込められた札を提げているだろう。」


シュルリと出し入れした舌が、いつもより赤く見えた。


「ヒャイッ。」


断れないヤツだ。




特命を受けた悪鬼と嫌呂は遠い目をしながら流山に戻り、いろいろ準備する。


二妖はタダの狐ではなく、座長と看板役者だ。劇団コンコンは地方公演も多く、旅慣れているのでサクサクすすむ。




「マルさま、信じてます。」


嫌呂がポツリ。


「信じよう。」


「はい、悪鬼さん。信じましょうね。」




悪鬼も嫌呂も、やれば出来る狐である。その強さ、ずる賢さ、逃げ足の速さは天下一品。なのに逃げられない。




「もう休もう。」


「はい。」




二妖が尾を抱き、眠りながら願う。


儺国から危ない品が出ませんように。すんなりサクサク進みますように。叶うなら美味おいしいゴハンが食べたいです。マルさま、マルコさま、お願いします! と。






「何かしら、あの塊は。」


「姉さん、何を見たの?」


「水、かしらね。」


「水の塊が飛んでくる、のかな。」


「違うの、イオ。動くのよ。こう、プルプルと。」


「ん。」


「水の神に仕える何か、だと思うわ。その近くに見えないけれど居るの。」




悪鬼と嫌呂を守るのは、大蛇おろちとマルの力。



愛し子は皆、強い力を持っている。けれど清めと守り、二つの力を使い熟せるマルは異例中の異例。


そんな愛し子に守られているのだ。先見や先読の力では、どんなに努めても見えない。




「そのプルプル、悪いモノを連れているなら消すよ。」


「いけないわ、イオ。プルプルも何かも、とても清らなのよ。だからね、きっと琅邪ろうやを。いいえ儺国なのくにを調べに。」


「調べにって、神のおおせで?」


「そう、だと思うわ。」


「なら、消せないね。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ