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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1326/1593

15-44 会わせるか


収まるトコロに収まったか。


長かったいくさも、これで。いや待て。一息つく前におにとき和山社なぎやまのやしろへ。




こん。」


「はい、ただいま。」






湯溜神ゆだまのかみの使わしめ、こんは火山ガスの化身。妖怪である。気体なので分かりにくいが、高体温で空気より密度が高い。


主成分は水蒸気・二酸化炭素・二酸化硫黄。少量の水素ガス・一酸化炭素・硫化水素・塩化水素に加え、フッ化水素・水銀も含まれる。



全ての動植物を瞬殺するため、動植物恐怖症と平地恐怖症を発症。見えなくても存在感、抜群。






「外は対国ついのくに、内は儺国なのくに大陸おおおかと駆引きする事になった。」


やっと決まったんだ。長く生きられないのに、人ってノンビリしているネ。ビックリだよ。


「和山社へうかがい、御知らせしようと思う。」


エッ、急がなきゃ。


「急ぎ、頼まれてくれるか。」


「はい、喜んで。」


モワン。






真中まなか七国ななくに、中の西国にしくにに続き、しづめの西国も収まった。しばらくの間、話し合いで片付けるだろう。



長く続いた戦で数多あまたの国つ神が御隠れ遊ばし、中つ国は大荒れに荒れて乱れている。


どれだけ死ぬだろうな。凍えて飢えて弱って、ガリガリにせて動かなくなって。






大蛇神おろちのかみ。」


「人の世から隠の世に移った妖怪の国守が空霧うつおぎりつどい、知りたがっていると聞く。」


「はい。」






湯溜神は狭間はざまの守神で在らせられる。その辺りの情報もバッチリ入手し、社憑きを派遣済。



火の粉の戦闘力は低いが、高い情報収集能力を誇る。


基本的に夜明けから夜明けまで働くが、週休三日の四交代制。福利厚生も充実。パチパチと元気よく飛び散る隠は、その大半が縁故採用。






「妖怪の国守に混じって、儺国王なのくにのきみだったサミが嗅ぎまわって居ります。」


夜叉神よさのかみは敵を殲滅後、湯溜社ゆだまのやしろに出頭なさった。その縁で今でも、たまに焼山やけやまに顔を出しなさる。


「ホウ。」


大蛇神の御目が細くなり、ドキリ。


「隠の世に妹が居らず、人の世に囚われているのでは。そう考えたのでしょう。」






サミの妹、ココは生きている。中の東国、霧雲山の統べる地。乱雲山にある村、なごみで。


織り人になったココは狩り人ノブの優しさに惚れ、当たって砕けろで告白。思いが通じ合い、二男一女の母となった。



乱雲山は強い力で守られているので、雲井社くもいのやしろの許し無く出入り出来ない。御山を出られるのは村長、コウだけ。


伝説の狩り人ジロの孫はカンが鋭く、不用意に近づけば妖怪でも狩る実力者。






「鎮の西国、儺国からさらわれたきみの娘だったな。」


「はい。」






早稲わさ近くの掘っ立て小屋から救出された八人のうち、三人は雲井社に引き取られた。子の家でイロイロ学び、和みで幸せに暮らしている。



鎮の西国、珂国かのくにから攫われた長の娘ミア。鎮の西国、対国ついのくにから攫われた兵頭のせがれカセ。二人は引かれ合い、一男一女をもうける。


三人は今でも仲が良い。






「・・・・・・会わせるか。」


「そう、ですね。」


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