表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1325/1595

15-43 さぁ、どうぞ


人だった時から人を憎み、生まれを呪い、それでも何とか生きていた。姉は弟の、弟は姉の幸せを願いながら。そんな姉弟が今わ、手を取り合って思う。


次があるなら力が欲しい、と。



姉弟は海で死んだ。


おにから妖怪に、それも鬼になったと気付いたのは水際みぎわ。眺めも匂いも同じなのに、どす黒い霧の帯が身を貫いた時。






「お気づきですか?」


ザワッ。


儺国王なのくにのきみになって直ぐの子に、残り九の大王を集める。」


ハッ!


琅邪ろうやでも儺でもナク、どうして焼山やけやまを選んだのか。」


ゾクッ。




穏やかに暮らすため、手を組んだ琅邪王ろうやのきみせがれは半鬼になっていた。プチンと潰せるのに生かしたのは、心を操る力を持っていたから。


『使える』と思ったから。




「お待たせしました。」


琅邪大王ろうやのおおきみ儺升粒なしょぶ。笑顔で登場。スッと腰を下ろし、ドンと瓢箪ひょうたんを置く。


「紫の煙。」


儺国王を除く九王が顔色を変えた時、儺国王が瓢箪を受け取りキュポンと開栓。


「さぁ、どうぞ。」




九王は知っていた。大陸おおおかを襲ったやまいは近づいたダケで移り、肌の色を紫黒に染めると。毒かもシレナイと。




「どっ、どうして。」


ソレを手に入れた。


「何を。」


どう使う気だ。




儺升粒は望んで大王おおきみになった。兄を殺した父王を殺し、歯向かう者を甚振いたぶり、逃がしてから殺した。


その子も、親も全て。



琅邪から奴婢ぬひ卑呼ひこを無くし、姉弟に預けて留め置いた。


弱いから、いや弱らせてしまったから守る。守らなければイケナイ。人で無しから玉と根を切り落とし、その命を懸けて働かせたのも兄の考え。




「これまで通り、十の大国おおくにで収めましょう。話し合いでネ。」


吉舎きさの前に九つの杯を並べ、儺升粒が微笑む。


「さぁ、けて。」




直ぐに立ち上がり、ここから逃げ出したい。なのに体が動かない。トクトクと注がれたソレを受け取り、震える手で口元へ。




「アッ、アッ、アッ。」


ゴクリ。




注がれたのは新鮮な葡萄ジュース。シュワシュワするのは琅邪の外れで見つかった、天然の炭酸水で割ったから。


ギュッと絞ったのは琅邪女王ろうやのめのう。焼山まで運んだのは琅邪の社憑き、夜飛やと


吉舎も鬼だが、その小さな体でココまで来るのは難しい。だから儺升粒が連れてきた。モチロンそんな事、他の九王は知らない。




「うん、美味おいしい。」


「・・・・・・そう、ですね。」






十王による不戦条約が締結。


国外は対国ついのくに、国内は儺国が窓口になる事が決定。合わせて有事の際、社を通して情報を共有することも義務付けられた。



危険物や禁制品が持ち込まれた場合、感染症の疑いがある場合も同様。破れば処刑される、生体実験に使われる、処分される前に毒杯をあおぐの三択。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ