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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1324/1595

15-42 因果応報


大陸で発生した大量怪死事件。


変死体から漂う腐臭は、あらゆる生物から命を奪った。都市から逃げ込んだ人が、周辺の村を滅ぼす。知らずに受け入れた里は隔離され、一人残らず焼き殺された。


生きたまま。






「恐ろしい話だ。」


「人のおこないとは思えない。」




その通り。鬼による正当防衛、にしては過激だが因果応報。いくさを仕掛けるなら殺される、全滅する覚悟を持て。




「やまとに持ち込まれたら。」


「そっ、それは困る。」




困るドコロの騒ぎでは無い。


けれど心配無用! その毒は琅邪ろうや謹製。琅邪社ろうやのやしろで厳重に保管されているソレを持ち出すには、琅邪女王ろうやのめのう王弟おおとの許可に加え、琅邪大王ろうやのおおきみの立ち合い必須。


そもそも人に扱える代物ではアリマセン。




「ドコで作られ、使われたのか。」


ドキッ!




居ましたよ。幼子おさなごを質に親を脅迫し、アレコレ要求した不法侵入者。決まりや言い付けを破り、好き勝手した不法滞在者。


その他もろもろ。




やまいなら。」


「祝の力でも治せない、と聞くが。」




治癒能力を持つ祝は少ない。耶万社やまのやしろのダイのように生まれ持った者、アオのように能力が変化した者も居る。


けれど多くはおにから妖怪になり、人のときに残る事を選んだ者。腰麻社こしまのやしろの妖怪の祝、ユキのようにあらたにさずかった者。




「やっと落ち着いたのに。」


「・・・・・・戦に、ならなければ良いが。」




紫煙むらさきけむりは鬼が本気を出し、作り出した猛毒。優位に交渉を進めるため、即効性の解毒剤も用意。勿論、散撒ばらまくツモリは無い。


けれど強すぎる力は抑止にも、侵略理由にもなる諸刃もろはの剣。




しづめ西国にしくには十王が、戦ではナク話し合いで治める。そう決まりましたよね。」


吉舎きさがスクッと立ち上がり、問いかける。


「海の向こうで広がったのが流れるモノなら、やまとに入る前に止めれば良い。」


ニコリ。


「止める、と言っても。」


九王が呟き、考え込む。




儺国王なのくにのきみ、吉舎が言っている事は正しい。それを行うてだてが有れば、力が有れば今すぐ動くだろう。


けれど、そんなモノどこにも。




「漕ぎ出してから死ねば、乗っているのはむくろ。」


「波の谷に沈めば良いが、流れ着いてしまえば。」


「それを鳥がついばめば、どうする事も出来ない。」




中の西国では人を除く、社所属の精鋭が大活躍。


応援に駆け付けた、ワクワクが止まらない和邇わにさんズ。美酒に釣られた飲兵衛のんべえや、美食を求める食いしん坊も本気を出した。




「増えましたよねぇ。泣きながら駆け付け、戦う猿。」




違う意味で奮起したのは、のんびり楽しく生きていた猿たち。目に見えない、音も立てない何かに行く手をはばまれ、思いのまま生きらぬと気付くまで三秒。


紫煙は丸薬がんやくにもなる。それを口に放り込み、口を塞げばアラ不思議。黒い涙を流しながら四肢を動かす、最強兵団の出来上がり。


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