15-41 処分完了
大量に押し寄せた移民、全てを琅邪で受け入れる事は出来ない。だから周辺の里や村と話し合い、儺の国を落とすまで預かってもらった。
戦、戦で人が減り、荒れ果てた地に手を入れる。ボロ家を住めるようにして、男女を別けて寝起きしてもらう。
家族単位で暮らせれば良いが、アチコチばらけると守り切れない。
「こんなモンかな。」
イオから渡された溶液を使い切ったので、大穴を掘ってポイポイ放り込む。
「離れないと飛んでくるよ。」
と言って直ぐ、大岩を投げた。
大穴の底に転がされた兵は、手足を捥がれたダケで生きていた。逃げたくても逃げられない。グシャッと潰され、物凄い勢いで立ち上る。
ザァっと降った赤い雨に打たれ、発狂する大陸兵。次は己だと怯え、失禁する者も。
「殺す気で来んでしょう? 殺されるって、死ぬって解るよね。」
「△✕□!」
「ナニ言ってんの。」
命乞いする大陸兵を一瞥し、ドカンと大穴を掘る。残っていた腕や足を掴み、淡淡と叩き込む吉舎。
その表情は妙に艶めかしく、異質だった。
「殺しに来るなら殺されるって、心に刻んで来るモンでしょう。」
「※□#!」
「だからさ、ナニ言ってんの。」
吉舎には大陸語が分からない。兵たちも通じないと気付いているが、叫ばずにイラレナイ。『助けて』『死にたくない』と。
儺国は広い。
狙いを定めたのは琅邪だが、他の港にも入っていた。あわよくば奪えるカモしれない。そう思ったのに、上陸と同時に処刑待ち。
「片付けるの、疲れるんだよね。」
投げ込んだ岩を持ち上げ、他の穴に投げ込む。
「もう来ないでよ。」
大穴の底に残るのは、砕けた人骨と血溜まり。ソコにボンボン放り込み、大岩を投げる。
大陸兵の処分が完了したのは、第一軍が上陸した三週間後。危険な実験を短期間に繰り返したことで、琅邪の医学と薬学は飛躍的に向上。
持ち込まれた品は全て再利用され、農具の質もグッと良くなった。荒れる前は田や畑だったので、石を退かせばサクサク耕せる。
「お助け、くだ、さい。」
紫煙を吸わされ、大陸に戻された兵が訴える。
「死にたくない。」
紫黒の肌や唇から発生する腐臭を嗅げば、不用意に近づけば命を奪う猛毒。
「生きたいよ。」
その願いは叶わず、不幸を招く。
大陸の武器商人は逃げた。逃げた先で変死し、その骸から紫煙が発生。多くの犠牲を出す。その知らせはアッと言う間に広まり、生きたまま焼却処分。
世代交代が進んだ。
「そろそろ、かな。」
吉舎が微笑む。
「集まるなら焼山に。」
「うん、そうする。ありがとう、夜飛。」
「どういたしまして。」




