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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1322/1601

15-40 生きて戻れると思うなよ


何だ、何がドウなっている! 目がかすむ。指先がしびれて舌も痺れて息が、息が出来ないんだ。


死ぬのか。このまま極東の島で、こんな姿で。



良く見えないが、肌が黒く変色したのは分かる。加えて寒い。頭が割れるように痛い、だるい、眩暈めまいがする。


乾燥した肌が裂け、噴き出す血も黒いのか。




「みずぅ。」


吐き気がするのにのどかわく。




大陸兵が大量に吸い込んだのは、『紫煙むらさきけむり』と名付けられた琅邪ろうやの毒。解毒剤は有るが助ける気も、生かす気も無い。


だから何もせず、ジッと待っている。



武装して攻め込むも一瞬で動きを封じられ、閉鎖空間で口を開けていた。直ぐに毒だと気付いたが、手足が思うように動かず転倒。




「あぁ・・・・・・。」


伸ばした手がダランとして、そのまま。




骨がけた、肉が腐った。というワケでは無い。狭くなった視界が歪み、指や腕が欠損したように見えたダケ。


思い込みとは恐ろしいモノで、ショック死する者が続出。欠損箇所から血潮が噴き出た、骨が露わになったと大騒ぎ。




「死にたくない。」


武具の重みに耐えきれず、派手に転んで呟いた。




いくさを仕掛けるなら、まず使者を立てて口上を述べる。


その慣例を無視したのだ。実験動物扱いされても、そのむくろを溶解されても文句は言えない。




「鼻が曲がりそうだ。」


イオがまゆひそめる。


「そうですね。」


夛芸たぎつらそう。


「煙を消せたら、違うのかしら。」


ミチが首をかしげ、呟く。






儺国なのくにしづめ西国にしくににある、十の大国の一つ。近隣の村や国に攻め入り、滅ぼしたり組み込んだりして領土を拡大。


大王おおきみが人だった時はガバガバだったが、当代は違う。



琅邪社ろうやのやしろの継ぐ子で戦嫌いな小鬼は、大陸兵の手足をいだ。


叫ぶソレの頭に溶液をバシャリ。ジュッとけるソレを冷たい目で観察し、ユックリと数を数える。






「死にたいなら海を越えず、大陸おおおかで死ねよ。」


死にたいワケでは無いと思うが、吉舎きさには自殺志願者にしか見えないのだろう。


「片付けるの、疲れるんだよねぇ。」


気持ちはわかる。


「見るなり起たせて、襲い掛かるトカ何なの。気持ち悪いんだけど。」


小柄で整った容姿をしている吉舎に襲い掛かり、伸びて固くなったソレを突っ込もうとした。


「小っちゃ。」


ガッと掴んで引っこ抜いたソレを、男の口中に突っ込んだ。






吉舎は儺国王なのくにのきみである。民を守るため、おのに出来る限りの事をした。


女と子を王のたちに入れ、その回りに動ける年寄を配置。選ばれたのは、それなりに戦える者ばかり。



琅邪には雨降らしのかんなぎがいる。


戦好きだった父王を殺し、儺から離れようと力を付けた。少しづつ豊かになって奴婢や卑呼を無くした。人に戻した優しく、賢い王。


そんな話を聞き、救いを求めた。






「ウチのに手を出そうとしたんだ。生きて戻れると思うなよ。」


頭を地に叩きつけ、鳩尾みぞおちを蹴り上げる。


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