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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1320/1594

15-38 元締は知らない


しづめ西国にしくに、十王は冷静だった。


一早く動いたのは儺国王なのくにのきみ吉舎きさ




おおせのままに。」


人のおさであるやしろの司、琅邪大王ろうやのおおきみこうべを垂れた。


「この命、尽きるまで。」


穏やかになごやかに治めると誓います。






吉舎にとっての神は二柱。琅邪ろうや御坐おわす生き神、琅邪女王神ろうやのめのうのかみ琅邪王弟神ろうやのおおとのかみ儺升粒なしょぶはオマケ。



遠く離れた所で何が起きたのか分からないが、琅邪大王が姉弟を裏切る事は無い。だから従う。


それダケ。






卑呼女ひこめさま、ありがとうございます。」


たみひざまずき、祈りをささげた。






儺国なのくにに滅ぼされ、取り込まれた国は多い。里が村に、村が国に、国が大国に破れて今がある。なのに琅邪は立ち上がり、儺を呑み込んだ。


いくさ好きなんて要らない。シッカリ治めてくれるなら、琅邪との結びを守ってくれるなら何でも良い。


吉舎は子だが、琅邪から送り込まれた賢い子。きっと穏やかに、和やかに暮らせる国にしてくれる。






「吉舎さま。これからも、どうか。」


ひれ伏され、パチクリ。


「力いっぱい務めます。」


キリリ。






真中まなか七国ななくにに続き、中の西国にしくにも収まった。このままでは戦の具、船も売れない。鎮の西国なら、まだイケル。


そう考えた大陸の武器商人が集まり、酒を持ち寄って密談開始。




「どうする。」


大陸の武器商人、仲良く前のめり。


「儺国。」


元締が呟いた。


「王になると戦闘狂になる、鎮の西国の。」


得意先の一つデス。


「子が王になった、らしい。」


「・・・・・・エッ。」






儺国王はコロコロ変わる。


儺国に滅ぼされた国からも出たが、儺国王になると呪われるのか。揃って戦闘狂になると聞き、アレコレ揃えて持ち込んだ。のに断られ、若いのを残して帰国。



その若いの、どうなったのかって? 直ぐに捕らえられました。只今、琅邪薬学に貢献中。


薬、いや毒ですネ。紫煙むらさきけむりを吸ってマス。



紫色の煙から、タバコの事を紫煙しえんと呼びます。けれどコチラは琅邪の猛毒。


実験の被験者は公募するモノですが、この被験者は違いますネ。ウフフ。






「その子、人ですか。」


オッ、鋭い。


「妙な技や力を持つ怪物とか。」


小鬼です。


「だとしても妙だな。」


何が?


「最初に親、それから子に譲位するだろう。」


まぁね。




商人は情報が命。アチコチに部下を派遣し、アレコレ探らせている。けれど最近、定期報告が途絶えた。




「儺国王は琅邪から通っている。それも毎日。」


ドヨッ。


「琅邪は儺国に取り込まれた小国。海からも近く、開けている。狙うなら琅邪だ。」






元締は知らない。その琅邪には鬼、妖怪が居ることを。


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