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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
132/1573

5-59 震える大地


「クゥゥン、ウゥウ、クゥ。」 クルヨ、ナンカ、クル。


何だか、嫌な感じがする。胸がドキドキする。何だろう。とっても、とっても、落ち着かない。


それに、見てよ。鳥が飛んでない。あれ? 空が、変だ。


「ワワン、ワン。」 ミテミテ、ネエ。


シゲさん、空を見て。いつもと違うよ。


「どうした? 上に・・・・・・鳥が、飛んでない。」


「シゲ! 来るぞ。」


「来るって、ノリ。何が」


「みんな、外に出ろ! 急げ。」


ノリが叫ぶ。


良く分らないが、何かが来る。家の中にいるより、外にいた方が良いのだろう。落ち着きのない犬たち。鳥のいない空。色も、違うような気がする。



「クゥ、クゥ。」 ウウ、クル。


「クゥゥン、ワン。」 クルネ、クル。


「ウゥゥゥ、ウワン。」 オチツケ、ミンナ。


「ククゥ、ワン。」 ソウダヨ、ソウ。


シゲコだけじゃない。ノリコも、シロも、クロも。ウロウロ、ウロウロ。


「みんな、起きろ! 温かくして、外へ出るんだ。急げ、急げ。」




「皆、いるか?」


「あぁ、いる。」



ドーン。グラグラグラァァァァァ。



突き上げるように、地が震えた。立っていられず、尻もちをついたり、転んだり。



「ワァァァ。こ、怖いよぉ。」


「みんな、落ち着いて。さぁ、いらっしゃい。」


「ウェェェン、コノさぁぁん。」



「ワァァァァ。」


「お、お母さぁぁぁん!」


「お母さぁぁん、お父さぁぁん。」



「火の山が噴いたってんじゃ、ないか。」


「タケ。なぜ、そう思う。」


センが問う。


「いやぁ、ね。火の山が噴けば、灰が降る。でも、ほら。何にも降ってこない。」



「みんな、案ずるな。この山はな、強いぞ。ちょっとや、そっとじゃ、崩れない。」


「ほ、ほんと?」


シゲコを抱きしめながら、ソラ。


「あぁ、信じろ。」


「カズが言うなら、そうだ。なぁ、シゲ。」


クロを撫でながら、ムロ。


「そうだ。みんな、落ち着くんだ。生きていれば、何とかなる。」



「でも、おうち。ペッシャンコ。」


サキが呟く。


「また建てればいい。」


コタの優しい声を聞き、俯いていたサキが顔を上げ、二コリとした。



「そうそう。燃えたんじゃない。チャチャッと、組み立てられるさっ。」


シンが明るい声で言った。



「そっか、チャチャッ。」


「チャチャッ。」


子らがキャッキャッと笑った。


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