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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1313/1594

15-31 食べないんですか


儺国王なのくにのきみが死に、新しい大王おおきみが選ばれた。


押し付けられたのだろう。とは思ったが、どう見ても子だぞ。




琅邪ろうや吉舎きさです。」


ニコリ。






小鬼にもイロイロ居るが、少なく見積もっても三百年は生きる。


吉舎はピチピチの八十代。角も牙も上手じょうずに隠せるし、体は小さくでも力は強い。心の声もバッチリ聞こえる。



に集まった十王のうち、九王は人。


幼子おさなごだからと見た目で判断してはイケマセン。吉舎は琅邪社ろうやのやしろの鬼ですヨ。






「ではソロソロ、参りましょう。」


ニコッ。


「そう、ですね。」


体が、重い。目がかすむ。






ココはしづめ西国にしくに儺国なのくにはずれに在る琅邪。琅邪社は大王の家より大きく、倉と同じように建てられている。


話には聞いていたが、ココまでとは。



いやソレより何だ。出されたモノには口を付けず、持ち込んだ水しか飲んでいない。なのに、思うように動かないぞ。




琅邪女王ろうやのめのう卑呼女ひこめさま。琅邪大王ろうやのおおきみ儺升粒なしょうぶさま。儺国王、吉舎で御座ございます。」

ペコリ。


「御会いくださり、ありがとうございます。」


ニコリ。




残り九王が重い体にみち打ち、こうべを垂れた。


皆、感じている。女王の弟は毒使い。ナニカを盛られた、とは思わない。だから嗅がされたのだ、と。



儺を手に入れた琅邪に、強い力を持つ琅邪に手を出せばドウなる。王、それも大王だ。考えなくても判る。だから社を通して先触れを出し、こうして集まったのに。




「儺国は琅邪に仕掛けません。攻め込みません。誓いますっ。」


ニッコォ。




儺国王よ、つらくはナイのか。そんなに大きな声を、出して・・・・・・。


わ、笑っている。ツヤツヤしている。



そうだ。新しい儺国王は琅邪の民、琅邪から選ばれた大王。子だから何だ。




対国ついのくにも誓います。決して琅邪に、儺国に仕掛けません。攻め込みません。」


珂国かのくにも誓います。決して琅邪に、儺国に仕掛けません。攻め込みません。」



対国王ついのくにのきみ珂国王かのくにのきみが競うように述べ、ひれ伏した。それから岐国王きのくにのきみ崎国王さきのくにのきみ熊国王くまのくにのきみ分国王いたのくにのきみ筐国王かごのくにのきみ筑国王ちのくにのきみ糟国王ぬのくにのきみの順にならう。


皆、考える事は同じ。



あの儺を落とし、幼子を王に据えた琅邪は他とは違う。王弟が姿を現さないコトも気になる。


陰からコチラを伺い見て、アヤシイ動きがナイか探っているに違い無い。



国を守るには、民を守るには死ぬ気で当たらねば!






パクパク、もぐもぐ。


「・・・・・・。」


ゴクゴク、ぷっはぁ。


「あれ? 食べないんですか。」




もう遅いからと言われ、琅邪大王の家に泊まる事になった十王。出された御馳走に手を付けたのは儺国王、吉舎だけ。


他の九王は様子見。




美味おいしいよ。」


この世の終わり、みたいな顔しないで。


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