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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1312/1596

15-30 死んじゃうよ


もう飛べなくなる。そう思った時、怖くなりました。もう会えないと、戻れなくなると。




「チュン。」 プッハァ。


食べた食べた。



琅邪ろうやって清らで、とっても良いトコロだね。いなむしに蛾の幼虫おさなむし。あぁ、おなかイッパイなのによだれが。



吉舎きさは賢い鬼です。何か起こる前に野繆分社のもくのわけやしろに駆け込み、助けを求めるでしょう。」


野繆は儺国なのくにに滅ぼされた国の一つで、野繆神のもくのかみ御坐おわした地。


「それはソウですが、の地は。」


使わしめ、もくを放たれてから御力をふるわれた。けれど救えたのは、死んでしまった人だけ。


「野繆分社には野生のぶが居るので、分狐わけぎつねから直ぐ。分社から琅邪への送り迎えは夜飛やとに。」




幼く見えるけれど、その背に黒い翼を持つ夜飛は人と、からすおにが融合して生まれた妖怪。高い戦闘力を誇る。


野繆分社は儺国管理拠点の一つ。アヤシイ動きがあれば直ぐに動けるので、避難するにはモッテコイ。




「儺国の民は、その多くが呪われています。」


ポンポコお腹を引っ込め、千声ちもりが言い切る。


「はい。」






鬼になって水と風を操る力を。それから物を見定め、細かく調べる力。水と風を使えば離れていても、悪い考えを持つモノを探し出す力。先読の力に癒しの力、心の声も聞こえる。


偽りとまことも判るのに解けない。



儺国は、儺国兵なのくにのつわものは殺し過ぎた。


取り込まれた里や村、国の民は悪くない。なのに呪われ、苦しんでいる。何とか出来たのは琅邪だけ。



行って戻るなら何ともナイけれど、他へ移れば同じように。






琅邪神ろうやのかみ。」


・・・・・・。


琅邪女王神ろうやのめのうのかみ。」


ハッ!


「神だから何でも、そう御思いですか。」


『妖怪』と呼ばれる隠の中で、力を振るって勝つのは鬼でしょう。けれど違います。


「そう、ですね。」


奴婢ぬひを、卑呼ひこなぶったのは消した。


琅邪に奴婢、卑呼も居ない。そんな琅邪だから他から、他では生きられない人が押し寄せている。


「ありがとう。」


いつか隠のときへ。けれどソレまで、救えるダケ救おう。






御隠れ遊ばした野繆神は、生き残ったのぶを。穆の子に光を見出された。野生と名付けられた狐の子は鬼に守られ、社憑きとして生きている。



猫神に御願いして社へ。隠の世、郡山に迎えよう。そう思ったけれど、あの子は見つけた。同じ思いを抱く鬼を。


心から信じ、頼る事が出来る親を。






「ねぇ、ミツ。」


「なぁに、両葉ふたなり。」


「もう良いんじゃナイかな。」


「ん?」


「死んじゃうよ。」


「・・・・・・あら。」






隠の世。あいづめ西国にしくに、儺国に聳える郡山こおりやま。貪って飽きるコトを知らない、とても欲が深い隠や妖怪が多い。


だからソレはソレは厳しく取り仕切られ、保たれている。



少しでも悪さすればハイ、この通り。


死に別れた誰かが、川の向こうで手を振るのが見えた? それ、夢ではアリマセン。


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