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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1311/1594

15-29 誰か引き受けて


儺国王なのくにのきみが死んだ。そう聞いて思ったのは『またか』、だった。


儺は大国おおくに。その王はしづめ西国にしくに、十王になれるのだ。何も無ければ、その座を奪い合う事になるだろう。






「どう、決める。」


誰か引き受けて。


「話し合いで決めよう。」


家に帰りたい。


「ココは長く生き、いろいろ知っているかしらが。」


は? ナニ言ってんの。


「いえいえ。ココは人のおさである、やしろの司に。」


ハッ、こんな時だけ持ち上げやがって。


ひこさまを差し置いて、そんな。」


めてくれよ、そんなうつわじゃナイ。


「ココは、どうだろう。琅邪大王ろうやのおおきみに任せては。」


し・に・た・く・な・い。




うわぁ、逃げやがった。


揃いも揃ってコイツら、人の幸せを潰すダケ潰して、壊すダケ壊して。それでも逃げられると思っているのか。




「ユルセナイ。」


逃げるなら初めから、琅邪ろうやに任せれば良かったんだ。そうすれば村は、みんな死なずに笑ってた。今も幸せに暮らしていたのに!


「落ち着きなさい。」


「イオさま。」






吉舎は幼い。その小さな体に入った数多あまたの魂が、砂時計に閉じ込められた砂のように訴える。


どんなに時が経っても、決して融け合うことはない。


一つ一つ違うんだ。右に流され左に流され、落ちて積もって落とされる。上から下に、下から上に。



声にナラナイ叫びが、その音に搔き消される。


外に出れば戻れない。角が取れて丸くなったソレは、小さな器の中で諦めた。サラサラさらさら、グルグルぐるぐる。






「誰もナラナイなら、なる。」


琅邪から、社から出たくナイけど。コワイけど諦めなくない。


「そうか。でも出なくて良い。」


「えっ。」


琅邪社ろうやのやしろから通いなさい。」


「ハイッ。」






エッと、あれ。考えが、考えが纏まらない。琅邪は儺の一つ。その琅邪から通いでも、儺国王を務める者が出た。のは良いが、どう見ても子だぞ。



あの男、卑呼男ひこおに違いない。


琅邪女王ろうやのめのうの弟なら、毒使いなら儺国を立て直せる。その力をふるって、もっと大きく強く出来るだろう。


なのに子に、幼子おさなごに任せるのか。






「あの、ヒッ。」


息が、息が出来ない。


「アタッ。」


急に体が重くなり、膝から崩れて倒れた。


「ダズゲデ。」


強く額を打ち、頭の中が真っ白になる。


「ヴゲイレマズ。」


幼くても琅邪が認めた大王。


「ジダガイマズ。」


王弟おおとが連れてきた大王。


「オネガイ、ジマズ。」


ま・だ・し・ね・な・い。





うわぁ、痛そう。雀でもチュンチュン鳴くよ。いやジュンジュンだね。


儺呼山なこやまに戻って見聞きしたコト全て、お伝えしなくちゃ。



「・・・・・・チュン?」


逃げないから、お願い。翼を広げたまま持たないで。


げる! 体の重みで折れちゃうからぁぁ。


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