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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1310/1594

15-28 若く見えるが


日に日に力を増す琅邪ろうやを、もう取り込めない。仕掛ければ潰され、いいや滅ぼされる。そうなる前に、違うな。


表向きは儺国なのくにを、まこときみ琅邪大王ろうやのおおきみと認めて話し合おう。



しづめ西国にしくには大きい。だから十王で治め、他から守ると決めた。


儺国王なのくにのきみが倒れても、コロコロ変わっても居ればソレで良いと思っていた。けれどアレはイカン。急ぎはかり、話を纏めなければいくさになるぞ!






「考える事は同じ、か。」


焼山やけやまに集まった九王、揃ってゲッソリ。


「琅邪大王、儺升粒なしょぶは海を渡り。」


「あぁ。の地の王から、その昔。」


親漢儺王しんかんなおうの呼び名を。」


「・・・・・・若く見えるが。」






卑呼男ひこお王弟おおとイオは薬学に精通している。アレコレ処方しているが、その中に若返りの妙薬が。なんてコトはナイ。


けれど姉弟の周囲には、他より若若しく見える者が多い。



伏せられているが琅邪大王、儺升粒は半鬼。その体は少しづつ、人から離れている。


儺升粒の望みは琅邪を支配する事でも、儺国を潰す事でもナイ。琅邪の民が飢えず、凍えず、怯えずに暮らせる国にしたい。それダケ。






女王めのう卑呼女ひこめは雨降らしのかんなぎ。」


「悪かった足が良くなった、とか。」


「女王が育てている桃の木には、秋でも多くの実を付けると聞く。」


ザワッ。






桃は四月頃、淡紅または白色の五弁花を開く。果実は多汁で甘く、ウットリするホド美味。加えて邪気を払う力がある。と、昔から信じられている。


その実が『秋になっても食べられる』と聞いて、ザワザワするのは当たり前。



欲しい! と思った。けれど琅邪は儺国の一つ。仕掛ければアレが目を輝かせ、泥沼の戦いが続くだろう。


儺国はオカシイ。穏やかな男が王になっても、賢いおみが王になっても戦狂いになるのだから。






「結ぶ、か。」


最後まで黙っていた珂国王かのくにのきみが、良く通る声で一言。


「社を通して伝えましょう。鎮の西国、九王と会ってほしい。これからの事を話し合いたい、と。」


対国王ついのくにのきみが言い切り、微笑む。


「そうですね。」


「そうしましょう。」






嫌だイヤだ嫌だぁ! やっと、やっと大王になれたのに。儺国王になれたのに降りろ? 辞めろと、そう言うのか。


臣が大王に、このワシに。




「何をっ。」


グワングワンと世界が回り、後ろ向きにバタンと倒れた。後頭部を強打し、泡を吹きながら痙攣けいれん


「お、大王。」


こりゃダメだ。


「お気を確かに。」


長くても夜、かな。


「儺呼山、いや琅邪へ使いを出せ。」


大王が死にそうです。次は儺からではナク、琅邪から選んでください。






犬が、犬が笑っている。


生きたまま、この体に食らいつくのか。その命を繋ぐのか、犬が。・・・・・・尾が垂れている、となるとオオカミ。大神で在らせられる、の、ですね。



お助け下さい、まだ死ねない。片づけなければイケナイ事が山のように、気が遠くなるホド残っているのです。だから傷を塞いで、琅邪に勝てる力を御与えください。




「じぃあぁく・・・・・・なぃ。」


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