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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1309/1633

15-27 この子の名は


なかいっぱい食べ、くついでいたら眠くなった。ゴロンと横になり、そのままスヤスヤ夢の中。


夛芸たぎが抱き上げようとすると、目をクワッと開けてスススと後退あとずさる。ミチが微笑むとニコリとし、ストンとすわって舟を漕ぐ。






「この子は継ぐ子として、やしろで引き取りましょう。」


琅邪ろうや女王めのうに逆らえる者はイナイ。


「なら離れ。よりも、そうだなぁ。」


イオに抱き上げられ、頬を寄せる幼子おさなご


「姉さん、この子の名は。」






吉舎きさ儺国兵なのくにのつわものに滅ぼされた村の民は、その多くがいくさで命を落とした。女と子を逃がし、戦って死んだから。


中には捕まる前に、生きることを諦めた者も。



死んだ子の魂が融合し、鬼化して直ぐソレとは知らずに逃がされた。それが、この子。それぞれに名が有ったが、数が多過ぎて一つに絞れない。






吉舎きさ。」


「それって、この子が生まれ育った。」


「えぇ、そうよ。」






生きていても、カンが良くても力が無ければ見えない。それがおに


隠は何があっても、闇堕ちしても隠。妖怪は違う。その妖怪、最強と謳われるのが鬼。



森の中で行倒れていた鬼の子を見つけ、迷わず救おうとしたミチは思った。


幸せに、生まれてきて良かった。そう思えるように。強く生きてほしいと、真っ直ぐ育ってほしいと。






「あれ? ココは。」


そうだ。森の中で倒れて、風がフワッと吹いたんだ。でコウなった。


「おはよう、吉舎。」


「きさ?」


村の名だよ、それ。


「その体には数多あまたの魂が入って、名を一つに出来ない。だから選んだの。」


「・・・・・・ありがとう。」


涙が溢れ、止まらなくなる。






闇堕ちする前に救い出され、琅邪社ろうやのやしろの継ぐ子になったと知った吉舎はオンオン泣いた。


琅邪女王ろうやのめのう王弟おおとも、おのと同じ鬼。大王おおきみは少し違うが、人とは違う何かを持っている。


他にも似たようなのがチラホラ。



大泣きしてからモリモリ食べてグッスリ寝たら、頭と額から角が三つ、ニョキッと生えていてビックリ。何をドウしても引っ込まない。


『まっ、いいか』と開き直ったら、心の声が聞こえるようになった。






「他と違うコトは知っている。けどね、吉舎。そんな目で見ないでおくれ。」


琅邪大王ろうやのおおきみ、苦笑い。


「うぅん、ドウしよう。分らないや。」






両性具有。小柄で整った容姿をしているが警戒心の塊で、心からの笑顔は卑呼姉弟にしか見せない。そんな吉舎は角が生えると同時に、怪力と思念伝達能力を得た。



琅邪の社の司で、琅邪大王でもある。


人なのに人じゃナイ。鬼なのに、人と同じモノを持っている。そんな儺升粒なしょぶを警戒して近づこうとシナイ。が、避けているワケでもナイ。






「儺の端、儺呼山なこやまかな。隠が増えました。悪いのはスッと消えたり『ギャァ』って叫びます。」


にこにこニコリ。


「そうか。」


いつか、心から笑ってくれる。そう信じよう。


「儺升粒さまって良い人? だよね。好きだよ。」


警戒が解かれるのは、ずっと先。


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