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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1305/1599

15-23 心から願う


しづめ西国にしくに、中の西国も落ち着いた。のだが、大王おおきみの目を盗んでアレコレ企む輩は居るモノで・・・・・・。




「分かりません、で済むとぉ」


バタン。


大臣おおおみ? キノコにあたったのかな。」


おみが近づく。


「ヒッ。しっ、死んでるぅ。」




やっと落ち着いたのに、またいくさを仕掛けられてはタマラナイ。だから動きました。




「イオ。」


「はい、ミチ姉さん。」






琅邪ろうやで作られているのは一度ひとたび、失われた猛毒。


儺国王なのくにのきみだまされ、滅ぼされた里や村。儺国なのくにに取り込まれ、滅ぼされた国。その多くが他とは違う『何か』を持っていた。



生きたくても生きられなかった人がおにになり、生まれ育った地に戻り涙する。


『あの時、騙されなければ今も。』そう思うと、悔しくて悔しくて堪らない。



そんな隠たちに声を掛け、失われたてだてを受け継いだのがイオ。


儺国を内から壊し、琅邪社ろうやのやしろが裏で支える。そのために強い力が要るんだと伝え、教えをうた。






「体を壊すわ。少し休みなさい。」


「ありがとう。」






禁制品の発注先は、その大半が儺国。大王や大臣、臣の首をげ替えても、次のが同じ事をする。


呪い、としか思えない。



山頭やまがしら海頭うみがしらなど、選ばれてなる人は引き受けない。王のうつわじゃナイとか、臣なんて向いてナイと言って。


それでも頼み込んで受けてもらっても、他のが足を引っ張って壊れてしまう。






「姉さんもホドホドにね。」


「えぇ、そうするわ。」






琅邪女王ろうやのめのうは生き神。乾いた地に雨を降らせ、荒れた地を豊かにする。やまいに苦しむ人に触れ、少しづつ癒してくださる。


全ての人が助かるワケではナイけれど、軽い病なら癒えると聞き、遠くから琅邪を訪れる人が増えた。



鬼なので人より早く動けるし、力だって強い。だから琅邪と結んだ里や村、国に頼んで分社を建ててもらった。


琅邪まで行かなくても、儺国に組み込まれた地に行けば助かる。助けたい、守りたい人が、もう一度。






「ウンと水を飲んでもらって整える。それダケなのに、何だか悪いわ。」


「そんなコトないよ。血のめぐりを良くして、悪いのを体の外に出す。その手助けが出来るのは姉さん、琅邪女王だけなんだ。」


「ありがとう。」






毒消しを作る力なんて無い。


いつか中の東国ひがしくに、大貝山の統べる地に在る早稲わさ。霧雲山の統べる地に在るという良村よいむらいわおにも行ってみたい。



良村と嵓は難しくても早稲なら。聞いた話を纏めるとね、そんな気がするんだよ。


早稲は風見かぜみと結ぶ、いくさ好きな村らしい。でも思うんだ。耶万やまから離れたなら、そんなに悪い村じゃないって。



おさとかかしらが変わったんだよ、きっと。それで昔、早稲を出た人が戻った。いやソレは無いな。


戻らなかったけど話したり、商いが出来るようになったんだね。






「あのさ、思うんだ。いつか琅邪が儺国を、裏から動かせるようになったら変わるって。儺国から戦が無くなって飢えたり、凍えたりして死ぬ人が無くなるって。」


「そうね。」


姉弟は心から願う。おのらと同じ思いをする人が琅邪だけでなく儺国から、やまとから居なくなることを。


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