表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1304/1594

15-22 生きて戻れません


中の東国ひがしくにに引っ込んだ猫又が、しづめ西国にしくにに現れた。


ぎに研いだ鋭い爪で斬りつけられ、事切れたむくろが山のように積み上がり、腐臭を放っているトカ何とか。






めろ! やまとに出すな。」


一度ひとたび、積み込んだ荷を下ろすよう指示。


「帳面と照らし合わせ、全て確かめろ。一つも出すな。」


叢闇むらやみのアレコレは倉庫に戻され、『持出厳禁』の札がついた。数日で紛失するが、やまとに入る事は無い。


「コレは何だ。」


伯耆ほうき空軍大将、探知さじの目が光る。


たてヨ。悪くナい、危ナくナいヨ。デス。」






密航船の乗組員が、ガタガタ震えながら訴えるのは当然。ソレなりに大きな舟の周囲をグルッと、伯耆海軍の精鋭が囲んでいる。



伯耆海軍大将、波子はこ和邇わにおに。つまり和邇率、高め。


性質は獰猛、群れで行動。シロナガスクジラからラッコまで、さまざまな海生哺乳類を捕食。海鳥や海亀も食べる海のギャングは貪欲で、世界中の海に分布。






「皆、備え!」


グルン、バシャン。


「ヒッ。」


和邇の群れがひれを振り、グワンと視線が高くなる。船員がかいを捨て、へりつかんだ。


「もうしません! おかで暮らします。海に出ません。だから、だから殺さないでぇ。」


生きたまま食い殺されるのはイヤだ!






「困るねぇ。」


穴門あなとの社憑き、通称『穴門衆』がギロリ。


つるぎヨ。良く切れルけど、危ナくナいヨ。デス。」






外海を守るのは伯耆軍。内海を守るのは穴門衆と周坡すは衆。日替わりで磐現いわみ、出雲の和邇も参加。


伯耆軍が逃しても海の藻屑となる。



仮に上陸しても愉快な仲間たち。酒に釣られた猫又や蛇、猿などが待ち構えており危険性が高い。


報酬が高ければ? いえいえ。命を懸けるほど貰えません。






「血祭りだ。」


シュパン、ブシュゥ。


「食らい尽くせ。」


ビチビチビチィ。






プラニアもビックリの食いっぷり。食べ残した肉は全て、育ち盛りの小魚がパックンします。


禁制品は回収され、海社わだつみのやしろで適切に処理。



いつか浄化できる強者が現れるまで、キッチリ厳重保管されるので安心・安全。海底に在る社まで盗みに入る、なんて命知らずは居ないでしょう。


生きて戻れませんヨ。






「助けて!」


ボロボロになった大陸妖怪が妖怪の町、ひょうに飛び込んできた。


「フンッ。」


瓢の民は大陸で冷遇され、亡命するしか無かった者たち。やまとに骨をうずめる覚悟で海を渡った。


「知っている事、全て白状しろ。」


書記、スタンバイ。


「ハイッ。全て、全て話します。」




用済みになれば纏めて殺処分し、骸は海や火口に遺棄。知り得た情報は大社おおやしろに、危険物は指定された社に持ち込む。


それらは適切に処理され、表に出る事は無い。






「どうなっている。」


幾ら発注しても届かない商品を、イライラしながら待つ愚か者。


「それが、その。分かりません。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ