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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1303/1593

15-21 酒、飲みに来たんですか


大陸から持ち込まれるハズだった叢闇むらやみが、手に入るハズだった品が全て、残らず、丸ごと冷たい海に沈んだ。


結果、不逞ふていやからがワラワラ集まり大騒ぎ。



慌てるのは当たり前。アンな事やコンな事を、アッチやコッチで行うハズだったのに、アテにしていたブツが入らない。


引くか? いや引けん。となればドウする。






「おやおや、こんなトコロに。」


ニヤッ。


「ねっ、ねっ、猫又ぁ。」


「確かに猫又さ。でもね、アタイには『ながれ』って名があるんだよ。」




そのニャンコ、狂暴。触れるな危険、ナメるな危険。取扱注意!


見た目に騙されてはイケナイ。ふところにハンムラビ法典の一部が記された巻物を入れている猫又は、世界広しと言えど流ダケ。




「ニャンだい、その目は。」


ギラン。




流は中の東国ひがしくに神成山かみなりやま御坐おわ渦風神うずかぜのかみの使わしめ。基本的に中の東国から出る事は無い。


そんな御猫サマが遠路はるばる、わざわざ西国にしくにまで出たのはナゼか。




「『美味うまい酒が飲める』ってんで来たのに、ニャンだい。邪魔すんじゃニャイよ。」


プリプリ。


「へ?」


酒、飲みに来たんですか。しづめの西国まで。


鰹節かつおぶしシャブりながらチビチビ飲むツモリだったのに、見な。削ってナイのにコンナだよ。」


チマッ。


岳辻たけのつじでチーズを仕入れるか。」






岳辻は鎮の西国、岐国きのくにに在る。


玄武岩げんぶがんに覆われ、低平な台地状を呈し、最高点にあるのが岳辻。おにときに繋がる御山は険しく、誰も近づかない。



治めの隠は牛神で、やまと最古の牛の隠神で在らせられる。


特産はチーズ、バターなどの乳製品で、神神に大好評。完全数量限定品なので、予約してから来店しましょう。



因みに鰹節は南国みなのくに切猪きいで仕入れました。






「『ふぉあぐら』って知ってるかい? 西側で作られる珍味でね。おりに閉じ込めた鵞鳥がちょうかもを強制的に太らせて、肥大した肝臓を取り出して食らうんだ。アタイは食べたコトないんだけど、どんな味がするんだろうね。」


ニヤリ。


「・・・・・・ちんみ? きょーせー? ひだい?」


ヒアリング能力は高い、らしい。


「『珍味』は珍しい、味の良い食べ物。『強制』は力でじ伏せ、従うように仕向ける事。『肥大』ははらわたとかが、他より大きくなる事さ。」


ヒエッ。


「わっわっ、ワシは美味おいしくアリマセン。」


ガクガク、ブルブル。




狭いトコロに閉じ込め、ブクブク太らせてから腹を裂く。他より大きくなった腸を抜いて、ソレをムシャムシャ食べると言う。信じられない。


死にたくない。幼子おさなごが居るんだ、死ねないよぉ。家を出るまで、叶うなら孫が生まれるまで・・・・・・。お願い、殺さないで。




「これまでいくつ奪った。どれだけ殺した。」


えっ。


「気が変わった。」


長い爪をシャキンを出し、シュパン。


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