15-19 少量でも
八岐大蛇を酔わせたのは、なんとビックリ! 八度も濾した強い酒。一口で酔いが回り、グビグビ飲み干してしまう。そんな美酒。
酒は米などを発酵させて作った醪を搾って造る。一度や二度、搾ったダケでは足りないと仰せられたトカ何とか。
「何と美味しい御酒でしょう。ヒック。」
儺呼山神、微酔機嫌。
「琅邪に聳える山は豊かで、サルナシや葡萄が多く採れるのです。」
酒は憂いの玉箒。さぁさ、楽しく飲みましょう。
「ホウホウ。」
御目目、とろぉん。
酒は百薬の長とも言う? はい、そうですネ。けれど『適度に飲めば』という条件をつけて解釈すべきデス。
酒飲みの自己弁護にも使われる言葉だが、決して座右の銘にはナリマセン。ご注意ください。ビンポン♪
「ただいま戻りました。」
儺呼山神をグデングデンに酔わせ、琅邪社と同盟を結ばせる事に成功。ルンルンで戻ったイオですが、ちょっぴり千鳥足。
「あらあら。さぁ、お飲みなさい。」
水が入った杯を手渡され、ニッコリ。
「いだたきマス。」
グビグビ、プッハァ。
ワインは少量でもクルからね。
葡萄酒は赤、猿梨酒は白。どちらも飲みやすく鬼謹製。アルコール度数、高め? なのカモしれない。
「頭が痛い。」
神でも二日酔い為さいます。
「夜鳥よ。」
「はい。」
「儺呼山にも葡萄、猿梨も実るな。」
「はい?」
琅邪女王、王弟は鬼。大王は半鬼だが暮らしているのは人。木の実を集めたり選んだり、フミフミして潰すのもラクラク。
儺呼山で暮らすのは、その大半が獣。
見つけた木の実は美味しく頂き、蓄えるとすればドングリやクルミなどの固い実。甘い実はパクパク、ゴックン。
「・・・・・・滑さま。」
「解って居る。鯰よ、頼めるか。」
「はい。」
儺呼山社と琅邪社が結んだ。その知らせはアッと言う間に広まり、妖怪の町である瓢にも届いた。
出雲から使いが来る前に動かねば!
兎が、白い兎が来る。
後ろ足をタシタシされたらオシマイだ。何としても琅邪と、琅邪社と友好関係を築く。それが瓢の、我らの幸せに繋がるのだ。
「包子を作ろう。」
「ハイッ。」
琅邪の鬼は、女王は桃が御好きだと聞く。小豆餡にゴマ、豚脂、砂糖、塩で調味した荳沙包子が良いだろう。
王弟の好みは分からんが、姉の好物なら。と思うが豚挽肉、葱、椎茸、酒、砂糖などで調味した肉包子が良かろう。
「竜、先触れを。」
「はい、喜んで。」