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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1299/1596

15-17 そろそろ良かろう


しづめ西国にしくにには十の大国があり、その一つが



儺国王なのくにのきみいくさ好きで、回りの里や村を国にさせてから潰して楽しむ。


そんな外道を潰したサミがやまいに倒れ、はじめに取り掛かったのが隠れ里を守る事だった。






「ヌシは知らぬだろうが、ずっと昔の話だ。『儺国王から力を奪い、操ってくれ』と頼まれてな。」


琅邪女王ろうやのめのう、ミチが微笑む。






隠れ里は他とは違う。


恐れられるような『何か』を持っていたり、姿形すがたかたちが整っていたり、人とは違う事が出来たりした。ソレを隠すため、森の奥深くで暮らしていたのだ。


誰かが守らなければナラナイ。



次の王にアレコレ叩き込んだが、その次代はダメだった。控え目に言ってグダグダ。


儺の大王に使い捨てられ、狂ったように笑いながら死ぬ。






「ナッ、アッ。」


毒が回って動けない、上手うまく話せないダケ。考える事は出来る。






サミの孫が滅ぼした里の中に『儺呼の里』があった。


儺呼山にあった隠れ里は多く、表に出ていたのは『镾艸みめ』。御山にあった里を守り、導く守り人が暮らしていた。



毒の扱いにけ、争いを好まない民は隠す。守らなければナラナイ術を、その命を散らして。






「わかるか? 守るとは戦う事なのだ。」


琅邪の民には優しい声を出し、微笑む女王。




ミチはイオを守るため、言の葉に出来ない扱いを受けた。イオはミチを守るため、命を奪う術を身に付ける。


卑呼なのに残ったのは互いのため、生きる事を諦めなかったから。




「守りたい人を殺し、焼いて葬ってから後を追う。生きたくても生きられなかった者の思いが、叫びが聞こえるか。」






奴婢ぬひの子だからと小さくなって生きていた。


前を向いて歩いてはイケナイ、端を歩かなければイケナイ。泣いても笑っても、叫んでもイケナイ。



そんな姉弟を見守るしかナカッタのが、儺国王に恨みを抱きながら死んだおにたち。


ずっと、ずっと傍に居た。その目に映らなくても、その耳に届かなくても諦めず。






「そろそろ良かろう。」


ミチが力をふるい、押し込んだ毒を胸に集めた。


「アッ、あぁぁぁ。」


儺国から来た使いが、釣り上げられた魚のようにビチビチ暴れる。


「うん、聞いた通りだ。」


イオが微笑み、重力操作。


「グヘッ。」


男の目から光が消えた。


「踊れ。」


儺升粒が男の額を指でツンと突き、傀儡くぐつに変える。





おお、大事おおごとだぁ! 儺国が、琅邪から戻った使いが毒を。


ん、あの毒。ドコカで見た、いや知っているような気がする。




「ハッ、今じゃない。」


急ぎ、御知らせシナケレバ。




「キョキョキョキョ。」 オモイダシマシタ、アブナイデス。アレハドクデス、アブナイデス。


儺呼山社に戻った夜鳥、大慌て。


「落ち着きなさい、夜鳥。」


「キョキョッ。」 ハイ、ナコヤマノカミ。


きゅるん。


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