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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1295/1599

15-13 知っている事があるなら


儺国王なのくにのきみ大臣おおおみが死んだ。それはまたたの出来事で、駆け付けた数多あまたおみも倒れる。



むくろの肌は紫に染まり、見開かれた目は真っ赤っか。


とても苦しんだのだろう。口から泡を吹き、胸やのどむしったあとが有った。






「儺国王は琅邪ろうやに。女王めのう卑呼女ひこめの居る国に仕掛けようとしていたと聞く。」


ガタガタ。


「あの国は小さいが、とても豊かな国だ。」


ブルブル。


「雨降らしのめかんなぎが、卑呼女さまが御坐おわす国。」


ゾゾゾ。




アッチでブツブツ、コッチでゴニョゴニョ。


しづめ西国にしくに、十王の一人が酷い死に方をしたのだ。当然だろう。



残り九王が集い、琅邪大王に謁見えっけんを申し入れたのは数日後。






「儺国王が務まるのは琅邪大王、儺升粒なしょぶさまダケで御座います。どうか、どうか。」


そう言って平伏すのは、運よく生き残った臣の一人。


「断る。」




今は人だが死ねば鬼になり、社の司になる。


生き神に御なり遊ばしたミチさま、弟のイオさまに御仕えし、琅邪を守り続けるのだ。儺国王など、なるモノか。




「そうおっしゃらず、この通り。」


ひたいをゴンとつけ懇願こんがんする使者を、冷たい目で見る儺升粒。その手には土器のつき


「頭を上げてください。喉が乾いたでしょう? さぁ、どうぞ。」


モチロン少量、入ってます。松毒。


「ありがとうございます。」


グビグビ、プッハァ。


「私は琅邪王ろうやのきみせがれとして生まれ、琅邪大王になりました。この地から離れて生きる事など出来ません。そうそう、女王が仰いました。通り雨が降ると。急ぎ儺に戻り、お知らせください。」


ニッコリ。


「ハイッ。皆、喜びます。ありがとうございました。」




通り雨が降るのは琅邪。降り出す前にち、儺の国に帰ってネ。という意味です。


勘違いさせちゃったカナ? ゴメンね。



そうそう。引き続き、乾燥注意報が発令されてマス。火の取り扱いには十分、お気をつけください。






「逃げろ! 焼け死ぬぞ。」


ボォボォボォ。


「山が! 木に燃え移った。」


バチバチバチ。


「水ぅ、水ぅ。」


喉が焼ける。


「ギャハハハハ。」




琅邪に遣わされた臣は儺に入る前、山際の家に火を放った。


カラッカラに乾いていたので、アッと言う間に燃え広がる。




「シッカリしてください。笑っても火は消えませんし、良くなる事もアリマセン。」


死んだ大臣の倅が叫ぶように言い、肩を掴む。


「知っている事があるなら話してください。琅邪を、女王を怒らせたのですか。」






儺は大騒ぎ。


焼け出された民は持ち出せるだけ、食べ物を持ち出していた。幼子おさなごも年寄りも、フラフラになりながら。


だからしばらくの間、飢える事は無い。




「チュン、チュチュン!」 ナニコレ、オオゴトダァ!


儺呼山神なこやまのかみの使わしめ千声ちもり、大騒ぎ。


「キョキョキョキョキョキョキョ。」 イヤナニ、ミズミズ。ヒヲケセ、ヒヲケセ、ミズヲモテ。


社憑き、夜鳥やとりも大騒ぎ。


「千声、夜鳥も落ち着きなさい。」


社の司、長生ななり一喝いっかつ


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