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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1294/1591

15-12 腕が鳴る


琅邪ろうやには何かが有る、いや居る。気付いた時には手を出せなくなっていた。


あの小さく、貧しかった国がアッという間に豊かになり、力を付けるとは思わなんだ。



儺升粒なしょぶが王になって変わった。琅邪を認めさせるために海を渡り、親漢儺王しんかんなおうの呼び名を与えられた。


そう聞いて驚いたモノだ。






卑呼ひこが王を名乗るとは。」


信じられない。


「雨を降らせるかんなぎが居る、とは聞いていた。他では生きられぬ者を受け入れ、隠れ里や村を取り込むとも。」


だから、と卑呼を女王めのうにするか?


つわもの、使いを送り込んでも生きて戻らぬ。」




めかんなぎを女王に据え弟、卑呼男ひこおかたわらに置く。琅邪大王ろうやのおおきみでも許し無く近づけぬ。そんな女が、奴婢の子が王?


頭がオカシクなったのか。あの時は、そう思った。



琅邪は村から国になり、どんどん豊かになっている。に従わず、琅邪を軽く扱うなら儺から離れると言ってきた。


信じられない。




「毒使いが居るとか、動かずに熊を殺すとか。作り話だろうが、もし。」


まことならドウする。


「・・・・・・今は儺の一つだ。」




しづめ西国にしくに、中の西国もだが多くの、とても多くの王が命を奪われている。苦しみながら。


儺国王も、いや違うのが居たな。



王のせがれで兄が四人、いや三人。妹には優しかったと聞く。その妹が耶万に攫われ、兵を引いたとか何とか。


腰抜けに王は務まらん。なのに『良い王だった』とか『賢い王だった』と、今でも持ち上げられている。




「サミ、だったか。」


儺をココまで大きくした男。若くしてやまいに倒れ、眠るように死んだ王。


「雨降らしと毒使いを取り込めれば。」


儺は、もっと強くなるだろう。


「そうなれば、きっと。」


サミを超える。いやサミより良い王として長く、長く語り継がれるだろう。






と、考えているのだろうな。あの王は。


「させるか!」


姉さんを守るためなら、どんなに汚い事でもする。


「ふぅ、落ち着け。」


もう人では無い。鬼には鬼の戦い、遣り口が有るんだ。


「・・・・・・手始めに、松毒に似たアレを使うか。」






奴婢ぬひにされ、死んだ人。奴婢から生まれ、卑呼として死んだ人。何れもアチコチに呆れるホド居る。


おにになり、根の国へ行けた人は良い。けれど中には人のときに留まり、悪霊化した隠も。



鬼になったイオが初めに取り掛かったのは、そんな隠から失われたアレコレを聞き出す事。


その中に『松毒』と呼ばれる、松田に滅ぼされた松裏の毒も有った。



琅邪は山、海にも近く、手に入らない毒は無い。何がドレだけ入っているか分かれば、直ぐにアレコレ集めて作る事が出来る。






「クックックッ。」


腕が鳴るゼ。




試した事は無いけれど、儺国王になら迷わず使えるってモンさ。あの王は国を、儺を大きくする事しか考えてイナイ。


儺に取り込まれた国が、幾つ滅んでも痛くも痒くも無い。そんな男さ、アレは。



松毒は良い薬だ。多く飲ませれば直ぐ、少し飲ませれば遅く効き始める。タップリ飲ませれば『誰かに呪われ、苦しみながら死んだ』と語り継がれるだろう。


『琅邪に手を出すな』とか、言わせる事が出来れば良いのに。


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