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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1293/1591

15-11 奪う事しか考えられない


儺升粒なしょぶ大王おおきみとなり、琅邪ろうやから奴婢ぬひ卑呼ひこが消えた。皆、琅邪の民として暮らしている。


ミチとイオも卑呼ではない。けれど変わらず卑呼を名乗るのは、忘れさせぬため。






琅邪大王ろうやのおおきみよ。儺国王なのくにのきみおおせに従い、蓄えの全てを納めるように。」


儺国なのくにからの使者、半笑いで明言。


「断る。」


「なっ・・・・・・。」


頭をグワングワン揺らし、ガクンと項垂うなだれる。しばらくすると顔を上げ、クワッと見開いた。




姉弟は鬼となり、鑑定・解析能力を得た。加えてミチには水、風を操る力と先見の力。イオには重力操作、瞬間移動と先見の力が有る。



儺国からの使いが何を言うか、断ればドウなるかを見て、しっかり伝えているので慌てる事は無い。


半鬼の儺升粒には思考操作能力が有るので、他国から何を言われても対処可能だ。




「儺国が琅邪を軽く扱うなら、琅邪は儺国から離れる。そう伝えよ。」


「はい。急ぎ儺国に戻り、大王と大臣おおきみに伝えます。」


使者の目はうつろろだが、務めを果たせば元に戻る。






しづめ西国にしくにを襲った嵐は、収穫前の農作物をダメにした。


先見や先読の力を持つ祝や、口寄せが出来るかんなぎが居る地は良い。けれど他は絶望的。



琅邪は小国だが、そこそこ大きいので隠しようが無い。他の里や村から『食べ物を分けてほしい』と、琅邪に押し寄せている。




「蓄えは有りますが、冬を越せなくなると困るので。」


そう言えば十分。


「とは言え、お困りでしょう。芋と豆を一袋づつ、お持ち帰りください。」


いづれもいたみ易いので、植えて増やす事をオススメします。


「ありがとうございます。」


パアッと明るい顔になった。




琅邪は海の幸、山の幸にも恵まれている。


芋と豆が無くなっても蕎麦が有るので、かゆや団子に。サルナシや葡萄は酒に。ドンクリやクルミなど、日持ちする物は甕に入れて蓄えている。


干し肉だってタップリ。



となると現れる。




「どうして奪おうとする。」


琅邪の大臣は元、狩頭かりがしら。眼光が鋭い。


「それは・・・・・・。」


頼んでも、手に入るのは少しダケ。だから『倉を壊して、中のモノを根こそぎ』と考えた。ナンテ言えません。


「ドコから来た。」


儺升粒がゴロツキの髪を掴み、顔を上げさせる。


「答えろ。」


目が合った。もう、逃れられない。


「は、い。儺国から、大王に言われて来ました。」






訪問者の中には、里や村のおさも居た。なのに儺は、儺国王は琅邪から奪う事しか考えない。いや、奪う事しか考えられないのだろう。




「大王、少しよろしいか。」


イオが微笑む。


「はい。」


ニコリ。


「その男、儺国に飛ばしましょう。他は片付けたので。」


「では、お願いします。」




琅邪の大臣が顔色一つ変えず、スッと下がった。


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