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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1292/1592

15-10 出来る事を精一杯


厚い雲に覆われ、ビュウと風が吹いた。だんだん暗くなり、遠くでピカッと光る。そしてザァっと雨が。




「頼む、お願いします。んで、止ませてくださいぃぃ。」




しづめ西国にしくにを嵐が襲い、多くの作物がダメになった。山が崩れ、川が溢れ、家や田畑を押し流す。


高台に逃げた人は助かったが、他は・・・・・・助からない。きっと、あのまま根の国へ。




「このままでは稲が、米がぁぁ。」






万が一に備え、倉をイッパイにしていた国は困らない。けれど国を広げるために、いろいろ仕掛けるのに使ってしまったら?


はい、その通り。倉の中、からっぽ。



儺国なのくに大国おおくに。組み込んだ国にアレコレ言い付け、貢がせられる。のだが米はモチロン麦、粟、ひえきびも納められない。







「芋、豆も腐ってしまった。」



秋になれば木の実やキノコが採れる。けれど、この雨で木の根があらわになれば。木が倒れて実をつけなければドウなる。



冬に備えて食べ物を集めるのは人も獣も同じ。食べ物が少なくなれば、それだけ多くの人が飢える。


きっぱらでは力が出せず、狩りドコロでは無くなる。そうなれば、きっとガタガタになるだろう。



「あぁぁっ! ドウすれば。」


大王おおきみが頭をかかえてうずくまる。






ところ変わって琅邪ろうや。台風の眼にあるので雲が切れ、青空が見られる。


台風の眼は絶えず、その形や大きさを変えるモノ。一般的に眼の大きさは直径10から100kmほどで、稀に100kmを超える事もある。



のだが卑呼女ひこめが水と風、卑呼男ひこおが気圧を操作。儺升粒なしょぶが民の考えを穏やかに操作し、混乱を防いでいる。






「刈り入れ、終わりました。」


「運び込み、終わりました。」


ニコニコ。






琅邪の稲は、その大半が早稲わさ。琅邪の民が総出でセッセと収穫。


石器を扱えない幼子おさなご嬰児みどりごの守り、少し大きい子はわら集めを担当。



食べ物は高床の倉、藁はたちに運び入れた。


琅邪の倉は丈夫で長持ち。チョットやソットじゃビクともシナイ特別製、というワケでは無い。






「水瓶もイッパイです。」


エッヘン。


まきも入れました。」


ニッコリ。






力の弱い子は子守り、力持ちの子は水汲みや薪運び。身籠っていたり年老いた人も、たわらを編んだりむしろを編んだり大忙し。


収穫の手伝いは出来なくても、おのに出来る事を精一杯やる。



儺升粒が琅邪王ろうやのきみになって直ぐ、琅邪から奴婢ぬひを無くした。卑呼ひこ姉弟をあがめ、倉と同じ家を建てて住まわせた。


元は雨降らしのかんなぎ、誰も何も言わなかった。






「倉に入らなかったのは、社に置かせてもらいました。」


ドキドキしながら事後報告。


「『みんなで食べなさい』って、桃の実を頂きました。」


琅邪キッズ、揃ってウットリ。


「良かったね。」


大王に頭を撫でられ、エヘヘと照れ笑い。


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