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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1289/1591

15-7 戦は、もう


しづめ西国にしくに焼山やけやまで開かれた十王会議。大荒れに荒れると思われたがアッサリ終結。


『今まで通り、これからも仲良く治めましょう』と相成あいなった。



これからも内政干渉せず、十の大国が高め合えば良いのだ。


国が滅んでは建てられイロイロ有ったが、今となっては昔の話。中で揉めていたら外から攻められ、落とされる。そうなれば終わり。例外は無い。






「話し合いで片付いたか。」


「はい。」






湯溜神ゆだまのかみは焼山に御坐おわ狭間はざま守神もりがみで、火山の神でも在らせられる。


多くの人から畏れられ、とんでもなく強い霊力を御持ちだ。



使わしめこんは火山ガスの化身けしん。空気より密度が高いので、窪地に溜まりやすい妖怪である。


全ての動植物を瞬殺するため、動植物恐怖症と平地恐怖症を発症。






無形なり。」


「プルン♪」 ハイ、ユダマノカミ。


琅邪社ろうやのやしろに動きは。」


「プルルン♪」 ワルイノヲ『シュパッ』トシテ、ウミニ『ポイポイ』シマシタ。






湯溜の社憑き、使いよりの無形は流動体。


元は人の世に思いを残して死んだ動植物のおにで、焼山で融合しながら力を蓄え変身能力を得た妖怪。流体なので発声できず、心の声で会話する。



空中をフワフワ漂っているが、蒲公英たんぽぽ綿毛わたげと違って、おのの意志で素早く動けマス。






響灘ひびきなだを望む地に在るからな、和邇わにが喜んだろう。」


「プルプルルン♪」 ズラットナランデ、ナカヨク『パクパク』シテマシタ。






琅邪の女王めのうは『雨降らしのかんなぎ』で、生き神として崇められている。王弟おおとは毒使いで、姉弟は鬼になった。


人のまま鬼になった大王は、死ねばまことの鬼になるだろう。



『琅邪を大国おおくにに』と考えているなら動くが、女王と王弟は琅邪に思い入れが無い。


姉弟に救われた大王は親を殺し、王になった男。望めば空嶽うつおだけから空霧うつおぎり、社を通せば明里あかりへ移り住める。


なのに離れようとシナイ。






「湯溜神。琅邪の鬼が儺国なのくにから離れないのは、いつでも取り込めるからでしょうか。」


「混も、そう思うか。」


「はい。」






卑呼姉弟に、そのような考えは無い。琅邪から奴婢ぬひを無くし、卑呼ひこに名を与えて見守ると決めたダケ。


儺国王なのくにのきみを消したのは『目障り』だったから。



琅邪の民は少しづつ増え、豊かになっている。


鬼になった女王めのうは水と風を操る力、先を見る力も身に付けた。琅邪が水に困る事は無い。その力を求め、仕掛ければ王弟と大王が動くだろう。


いや、迷わず動く。






「中の西国に、知られなければ良いのですが。」


混が遠くを見つめる。


いくさは、もう。」


湯溜神が御目を伏せ為さった。


「プルン♪」 イクサニ、ナリマセン。






無形の行動範囲は広い。液体になって川に飛び込み、そのままスイスイ海に出ればドコへでも行ける。噴射推進式なので長距離移動もラクラク。


分身体を中の西国に派遣し、各国を詳しく調査した。その結果、治めの八柱が人の長である社の司に『殺し合わず、話し合いなさい』と伝え為さった事が判明。使わしめも動いている。


だから戦にはナラナイよ。


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