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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
西国統一編
1286/1592

15-4 とっても強いヨ


真中まなか七国ななくにを一つに纏め、七国王ななくにのきみになったのは倭国王しずのくにのきみ。頭と口が良く回るが、何でも『なぁなぁ』で済ませる男だ。


他の大王おおきみいくさをするよう仕向け、逃げ切ったのだろう。






「事を荒立てるコトは無い。離れているが、気になる。」


卑呼女ひこめが呟く。






琅耶ろうや儺国なのくにに取り込まれた国の一つ。響灘ひびきなだを望む地に在る小さな国だが、大陸からもたらされた品がイロイロ出入りする。



ソレは良いが困った事に、禍禍まがまがしい品を目にする事が増えた。そのたび海神わだつみのかみたてまつる。


けれど和邇わにが、いや考え過ぎか。






「ミチ姉さん。ひょうの民が言っていた事、信じるのかい。」


瓢の民は、その大半が亡命者。


「イオ。瓢が在るのはしづめ西国にしくに郡山こおりやまおにときでは無く人の世の外れ。」


闇が集まり、猫神の目が光る地で仲良く暮らしている。


「郡山で暮らすのを許したのは出雲、杵築大社きづきのおおやしろ伯耆ほうきは『強い』と聞くけれど、出雲はなぁ。」


居るよ。昔はヤンチャだったケド、立派になった兎は名家出身。いろんな意味で鍛えられ、たくましくなりました。


大国主神おおくにぬしのかみの使わしめ、稻羽いなばは強いと聞く。」


とっても強いヨ。






瓢の長、ぬらりが桃の実を持って表敬訪問。琅耶ではなく、琅耶社ろうやのやしろにネ。



琅耶のトップは大王、儺升粒なしょぶだが琅耶社のトップは女王めのう、卑呼女。イオの姉、ミチである。


因みに姉弟は生き神で、儺升粒は琅耶大王ろうやおおきみと社の司を兼任。琅耶社に出入り出来る男はイオと儺升粒だけ。



滑が『邪気を払う』とされる桃を手土産に選んだ理由は一つ。美味おいしいから。


多汁で甘い果実は生食とするほか、種子は漢方で咳止め、葉は桃葉湯として汗疹あせもの薬とし、白い花を干したモノは下剤として用いられる。


ソレは扨置さておき込めてます、メッセージ。



琅耶は小国だが、多くの国から狙われている。皆、雨降らしの力を持つ、表に出ない巫が欲しくて欲しくてタマラナイ。中でもアブナイのは儺国王なのくにのきみ


琅耶に仕掛けて王弟、卑呼男ひこおを攫う気マンマンだ。



卑呼は奴婢ぬひの子、長生き出来ない。なのに姉弟は生き残り、儺升粒と力を合わせて琅耶を立て直した。民からも慕われ、生き神として崇められている。


そんな女を攫えばドウなるか。方方ほうぼうから責められ、転がり落ちるだろう。だから弟を攫い、意のままにしようと考えたのだ。






「イオ。鬼になって、人に出来ない事が出来るようになった。それでもね、たった一人の弟なの。守りたい。」


「姉さん。」


うるうる、ジィーン。


「儺国が琅耶に攻め込むなら、その前に滅ぼせば良い。これからもイオと静かに、穏やかに暮らせるなら。」


何だってするわ。


「だからね、闇喰らいの品が力を付ける前に取り上げましょう。」


「そうだね。悪いのから取り上げて、海にボンボン投げ込もう。」


不法投棄? イヤだな、違いますよ。キッチリ許可、取ってます。


稻羽がネ。






「ハァ。」


ワクワク和邇さんズ、ゲッソリ。


「沖に出てくじら、狩っちゃう?」


みんなで!


「持ち場を離れて刺されナイかな。隠の世のツンツンふぐにブサッと、グサッと。」


・・・・・・痛いのは嫌。


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