15-2 出された物は
中の西国、治めの八柱は美古冨山で神議り。
同日同時刻、使わしめたち。淤岐島に集まってワイワイ、ガヤガヤ。
「話し合いで片付いたと思ったのに。」
大国主神の使わしめ、稻羽は白兎の隠。稻羽之素菟と呼ばれる、あの兎サンです。
「多くの舟が沈むんだろうな。」
周坡神の使わしめ、好は和邇の隠。穴門衆に比べると好意的?
「まぁ、難しいでしょうね。」
因幡神の使わしめシラは元、人間。妖怪の国守になって欲しいと頼まれるも、戦闘向きではナイと断った。
淤岐は伯耆の北方、日本海に在る島群。島前、島後と多くの小島からなる。
全て火山島で温暖。近海に優れた漁礁アリ。
「頂き物ですが、どうぞ。」
淤岐諸島を統べる豊穣の神、和巣神の使わしめ、印鳥が持て成す。
「美味しい。コレは何の肉ですか。」
安蓺神の使わしめ、峻は狗鷲の隠。いろんな動物を捕食するが、初めての味に興味津津。
「猫の肉です。」
同じく和巣神の使わしめ、ゴメが微笑む。
「ニャにっ。」
マサカの猫肉。猫は猫でも大山猫ではなく、あのニャンコ肉。
「伯耆の守り空頭、探知さまが大陸からの舟で見つけた。とか何とか。」
猫。ネコ目ネコ科の哺乳類のうち、小形のモノの総称。エジプト時代から鼠害対策としてリビアネコを飼育、家畜化したとされ当時、神聖視された。
在来種の和ネコは奈良時代、中国から渡来したとされる。が、お猫様はキマグレ。荷物に紛れて密入国してもオカシクない。
ソレを発見し、速やかに処理。
「探知さま、なら。」
と言ってパックン、もぐもぐ。
吉備神の使わしめ、厳は鷹の隠。体は小さいが狩りが上手く、狙った獲物は逃さない。
「そう、ですね。」
と言ってパクリ。
穴門神の使わしめ、(くしろ)は和邇の妖怪。愛妻家で鯨が大好物。
アレルゲンの摂取は出来ません。けれど違うなら、出された物は残さず食べる。それが礼儀。
「うん、イケル。」
磐現神の使わしめ、紅は紅花の妖怪で毒使い。見た目は可憐だが過激派。毒をポタリと垂らし、融かしてから吸収。
葉をピコピコ動かし御満悦。
「探知さまは妖怪になる前、猫との戦いで左の目を。」
稻羽が前足を揃える。
兎は草食なので、初めから供されてイマセン。
「赤い目からピッと、見えないナニカが出ますもの。」
伯耆神の使わしめ、ハッチ。ドキドキしながら後退る。
ハッチは蜜蜂。同じく、初めからナイよ。
探知は空の守り、伯耆空軍大将を務める鷗の妖怪。左目が赤く、頭頂部に羽が一本のびている。
妖怪化する前、リビア猫との戦いで左目を負傷した事で電波探知機能を得た。鳥を狙う猫を発見次第、血祭りに上げる事で有名。
・・・・・・ニャンコたち、逃げて。