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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1270/1593

14-61 同床異夢


琅邪社ろうやのやしろを訪れたのは白牙はが。やまと最古の鬼神、夜叉神よさのかみの使いおにである。


白牙も鬼だヨ。






儺国なのくにには妖怪の町、ひょうが在る。」


「そうですか。」


琅邪女王ろうやのめのう、澄まし顔。白牙ピクッ。


「瓢と結び、しづめ西国にしくにを守れ。」


「お断りします。」


王弟おおと、即答。白牙ピクピクッ。


「ワシは琅邪女王。王弟と力を合わせ、琅邪大王ろうやのおおきみを支える。儺国は守るがな、他などドウでも良い。」


イオと儺升粒なしょぶ、心の中で喝采かっさいを博する。一方、白牙は。


「ソレはソレは。」


眉をピクピク動かし、タイヘンな事に。


「おぉコワイ怖い。」


うん、凄い顔だネ。


「女王ミチ。」


白牙、澄まし顔。卑呼女ひこめピクッ。


「『人のときの事は人の世で、隠の世の事は隠の世で』はじまりの隠神、大蛇神おろちのかみが御決め遊ばした事。守れぬなら今直ぐ、消えてもらおう。」


と言いながら鬼火を出し、ニヤリ。


「ホウ。長く鬼を続ければ、そんな色になるのか。」


鬼になって日が浅い姉弟は、どう前向きに考えても白牙にはかなわない。


わかった。闇が隠の世に流れぬよう、力を尽くそう。」


豊かになった琅邪ろうやを、鬼火の海に沈めたくない。だから受け入れる。


「では瓢と」


「断る。」


琅邪トップ3、即答。






瓢は儺国にそびえる山の一つ、郡山こおりやまに在る妖怪の町。隠の世では無く人の世の外れで、闇が集まるが猫神の目が光っている地。


『異なる国の民』として生きることを認められ、移り住んだ。



琅邪は人の国。いづれ誰かが儺升粒の跡を継ぐが、社の司は鬼であっても人のおさ。琅邪の民を妖怪に近づける気は無い。


儺国王が知れば使いも出さず、イキナリ攻め込むだろう。その時、琅邪をドウ守る。守り切れるのか。






「鎮の西国で食い止めねば中の西国、中の西国から真中まなか七国ななくに。」


ヘェ、ソウナンダ。


「あの地から闇が溢れれば、やまとが闇に呑まれる。」


オオゴトダネ。


「そうなる前に動かねば。」


フゥン。ソレッテ、オイシイノ?






断言しよう。姉弟は儺国が、いや琅邪が絶滅しても困らない。


鬼化したのだ。その気になれば隠の世、隠の国への移住も可能。



儺升粒に協力したのは前、琅邪王ろうやのきみを処刑するため。儺升粒に近づいたのはせがれだから。


奴婢ぬひが産んだ女は卑呼女、男は卑呼男ひこお。人ではナク物。死ねば肥し、育てば肉便器。そんな扱いを受け続けたのだ。歪むのは当然。



アンリエヌの新たな一族、諜報員アンナと諜報技官マリィに協力したのも邪魔だったから。


作戦遂行の妨げになると判断した結果、遠ざける事にしたダケ。愛国心なんて欠片も無い。






「このたび神倉ほくらに納められたのは叢闇鉄むらやみのくろがね対国ついのくにに入った品も、何れ闇を吸い込んでわざわいもたらす。」


「なら島ごと閉ざせ。女王も王弟も鬼だが、強いからと駆り出すな。」


黙って聞いていた大王おおきみ、激怒。


「ワシらは琅邪を守るため、力をふるう。他は知らん。」


プイッ。


「瓢とは結ばぬが、闇喰らいの品は海神わだつみのかみささげよう。」




琅邪女王、呪いのアイテムを『海にポイします』宣言。その隣で王弟、満面の笑みをたたえる。


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