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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1269/1592

14-60 見える、見えるぞ


アチコチ痛ぇ。


悪事を働く前の呪物を破壊、いや粉砕するか? 洗浄液か浄化液かを注入後、攪拌かくはんと同時に投入されたのは細かく、細かぁく切り刻まれた分身体。


その後、濾過ろかされ脱水。






「ドウなっている。」


鉄だぞ鉄。


「ハッ! あの液体は岩漿がんしょうか。」


違います。


「絶東の小国に、そのような高等技術が。」


アリマセン。


「フッ、アハハハハ。奪ってやる、全て。全て奪ってやるゾ。」


呪物は量産品。今後も大量流入し、各地で内戦勃発。大戦となれば容易に奪取可能。闇には困らない。


「見える、見えるぞ。蛮夷ばんいが降伏し、従属する姿が。」






呪鉄じゅてつの思惑通りになり、ません。


しづめ西国にしくににはひょう琅邪ろうやも在ります。瓢は鎮の西国と中の西国、琅邪は儺国なのくにを監視。


異物を発見次第、全力で排除するでしょう。






「また持ち込まれたか。」


卑呼女ひこめが呟く。


「ミチ姉さん。持ち込まれたのは闇喰らい、大陸おおおかの『呪い』ですか。」


卑呼男ひこおが静かに問うた。






鬼化した卑呼姉弟は新たに鑑定、及び解析能力を獲得。


女王めのおは水と風を駆使して索敵能力を。王弟おおとは重力操作能力に加え、瞬間移動を可能にする。



ちなみに半鬼化した儺升粒なしょぶは思考操作能力を得たが、他は人と同じなので社の司を兼任。


卑呼女から『人として死ねば鬼になる』と言われ、ホッとした。






「イオ。」


険しかった表情がスッとやわらぐ。




卑呼男は姉を『ミチ姉さん』、卑呼女は弟を『イオ』と呼ぶ。親ナシになった時、互いに名付けた。


ミチは田畑に伸びる多くの小道、みちから。イオは幼児おさなごの時、「五百いおの毒を覚えて薬を作る」と断言した事から命名。






対国ついのくにかねが一つ。」


「あぁ、アレですか。」






鉦は小形の、叩いて鳴らす楽器。たたき鉦、伏せ鉦、鉦鼓しょうことも。


銅鐸どうたくは内部に舌(舌)を吊るし、揺り動かして音を出す。鉦は打ち鳴らすモノで、クヮンくゎんクヮンと良く響く。


2009年、世界無形遺産に登録された雅楽でも大活躍。密教では仏具として用いられてマス。






「鳴らすたびに闇を集め、増やすオソロシイ品だ。」


「うわぁ。」


イオが顔をしかめる。


「鎮の西国、北の地は大陸から近い。近ければイロイロ持ち込まれ、アチコチに。」






対国に流入した品は、その禍禍まがまがしさからやしろに持ち込まれた。結果、鋳潰いつぶされて地金じがねとなる。


呪鉄、再び。


とナラナカッタのはおにとき竪羅山たてらやま御坐おわ蝙蝠神こうもりのかみが御力を揮われたから。






トントン。


「女王、儺升粒です。よろしいでしょうか。」


姉弟が見合い、ミチが頷く。


「入れ。」


「ハッ。」


イオに許され、笑顔で入室。


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