14-58 何だ、半妖か
クッソォ! 猫又ダケでも厄介なのに神獣、白澤まで出てきやがった。一体、上層部は何を。
抑これまで千、いや万は送付されたハズ。なのに反応ナシ。
内戦状態にある鎮の西国で鏡と珠が融合。先に送り込まれた剣を吸収するため、中の東国へ飛んだのを小物が確認している。
それからドウなった。
「ニャにを考えている。」
ヒョエッ。
「『これまで送り込まれた呪物は、少なく見積もっても万を超えているハズ。なのに全く反応が無いのはナゼだ』ってトコロかな。」
ゲッ、気付かれた。
流と白澤から逃げる事など不可能。なら今、出来る事をすれば良い。
・・・・・・あれ? 何も浮かばないゾ。それでも考えろ。他のと違い、闇が満ち溢れている。不可能を可能に出来るハズだ。
このまま遣り過ごし、離れたら闇を切り取って放つ。ソレらが自我を持ち、集合するまで待てば良いんだ。ソウと決まれば、ちょっと待て。
「おや、この感じ。」
何か来る。近づいてくる。何だ、猫。言え! 他にもバケモノが居るのか。
「そろそろ帰ろうカナ。」
帰れ帰れ、天獄へ帰れ。何なら地獄に落ちろ。
「失礼な事、考えたでしょう。」
エッ、ナンノコトデショウカ。
「白澤、捨て置け。」
「そうだね。また会おう、流。」
グフフのフ。運が向いてきたゼ、キャッホィ。オレ様は特級呪物。己の一部を分身とし、放散可能なのだ。
ペイッとクルクル、ポーン。ペイッとクルクル、ポーン。
「フゥ。まっ、こんなモンだ、ろ?」
呪鉄がノリノリご機嫌でポイポイするのを、ニコニコ笑って拾っていたのは人と妖怪の合いの子。
「何だ、半妖かって、えぇぇっ。」
栗拾い用の挟みは加津の妖怪の国守、ミカが幼子にも扱えるように作った逸品。
大石の妖怪の国守、クベが心を込めて作った袋には、加津の清め水がタップリ入ってマス。
呪物の分身を拾って集めていたのは、探知能力に優れている加津のイイ。カンが鋭く、心の声がビビッと伝わる会岐のミイ。
壷を持って回収していたのは大石のムゥ。とっても力持ちで、大岩でも軽軽と持ち上げデス。
「親はドコだ。おいコラ、ソレ寄越せ。」
イイとミイを守るように、先見の力を持つ千砂のヨヨが瓢箪に入れていた清め水を打ちまける。
「ギャッ。」
大当たり!
「ミカさん。禍禍ん、消えないヨ。タプタプ袋に入れてみよう。」
イイが微笑み、クベ特製袋を開いて見せた。
「そうだね。でもタプタプは危ないから、ユキさんに任せよう。」
「はぁい。」
イイがミカの元へ駆けた、その時。
「ヴギャッ。」
暗黒、いや漆黒の闇に捕らえられ、四方八方から攻撃を受ける。
「ナニガ。」
呪鉄が身を捩って逃れようとするが、その度に傷が深くなる。帯状の何かは諸刃で、縁に多くの歯が刻んであるから。
「ドウジデ。」




