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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1264/1591

14-55 ヤルしか無いさ


闇喰らいの品は多い。耶万王やまのきみが持っていたつるぎも、このたびの鉄も闇喰らい。


大陸から持ち込まれた『叢闇』と呼ばれる、わざわいもたらすソレは神の御力でも壊せないと聞く。






「アキのようにおのを切り取り、他の何かに植え付けられるなら刻めませんね。」


ユキがポツリ。


「となると守りながら戦えるミカが前に出て、クベが闇喰らいの鉄を包み込む。ソレを清水に放り込み、悪取神あとりのかみのタプタプしない袋に入れ、地蜘蛛の糸でグルグル巻く。の、かな。」


フタがニコリ。


「私たちはミカとクベを支えながら闇喰らいを囲み、切り取らせぬよう力を尽くす。」


モトもニコリ。


「その鉄は今、真中まなか七国ななくにに有るんだよな。」


オトが考え込む。




真中の七国はいくさ、戦でズタズタのボロボロ。このままでは冬を越せないと分かったのか、大急ぎで畑を整え始めた。


キナ臭いのは叢闇鉄が有る倭国しずのくにだけ。




「中の東国ひがしくにに持ち込まれるなら、早くても春。津久間つくまか大貝山の地でしょう。つわものが、いいえ。人が気付く前に動かさなくては、きっと闇がドッと溢れるわ。」


ユキが言い切り、ゾッとした。


「断れないんだ、ヤルしか無いさ。頼めるか、クベ。」


「はい、ミカさん。」





クベとミカは年が離れているが、人だった時からの付合い。互いを良く知っている。これまでも力を合わせ、いろいろ片付けてきた。


守りたい人を守れず、耶万王を殺す事しか考えない。それでも願った。己と同じ思いをする人を減らしたい、無くしたいと。




神倉ほくら祝辺はふりべ、隠の守が建て始めた。倭国は遠い。一山いちのやまから隠の世に入り空霧うつおぎり、空霧から空分社うつおのわけやしろへ。」


案内役を務めるのは夜叉神よさのかみの使わしめ、音門もと


「いつ出る。」


二夜ふたよ、明けたら。」



話し合いの末、叢闇鉄を取り出すのはミカ。閉じ込めるのはクベ。回りを固め、支えるのはフタ、クウ、ユキ、モト、オトの五妖。


勿論ユキの相棒、ユラも加わる。







「ハァ。闇、闇、闇が足りない。闇喰わせ!」


縦穴の底で叢闇鉄、大騒ぎ。


「何だよ、闇塗れなのに清らって。」


ブゥブゥ。


「アレか、あの時か。琅邪ろうやの。」


ムッキィ。




卑呼姉弟と儺升粒なしょぶが捨て身で戦い、海に飛び込んだ。ジュッと清められ、逃げようとしても逃げられずあせったが何とかナッタ。


それでも弱り、このザマ。




「フン! また来るぞ。」


大陸で大量生産される叢闇の品は、わざわいもたらす超一級品。方方ほうぼうに送りつけるさ。


「返品しよう、ソウしよう。」


不可だ不可。次はナイぞ、琅邪。




『女王』卑呼女と『王弟』卑呼男は鬼、『大王』儺升粒は半鬼になった。また持ち込まれても眉一つ動かさず、海に投げ込むだろう。


まっ、教えナイけどネ♪ うふふ。




「見える、見えるぞ。」


黄泉こうせん?」


「見えるワケ無いだろう! 土の下だ、ぞ。」


パチクリ。


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